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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 3 「フェニックス」

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 一週間この地下室で過ごした。外をこっそり見ても、風の音以外、まったく声も何も聞こえない。メカロイドも近くにはいないようだ。灼熱の太陽の下、暫くはクラーク夫婦の遺体からひどい臭いが漂っていた。最近は自動散水出来ていないから、草花は枯れて、アリゾナ名物のサボテンだけ緑が残っている。遺体も乾燥してミイラみたいになってきた。かわいそうだけど、埋めてあげることもできない。
 近所の人達は、どこに連れて行かれたんだろう。あのメカロイドの様子じゃ、みんな無事とは思えないけど、まさか殺されちゃったなんてこと、ないわよね。私も付いて行くべきだったのかしら。
 おばあちゃんはどうしているだろう。無事を確認することなんて不可能だわ。連絡したいけど、電話は繋がらないし、テレビやネットニュースも見れるはずない。
 ケニーは無事だろうか。なんだか彼のことばかり考えている自分に気が付いた。特別な関係ではなかったのに、こんな感情になるなんて。最後にキスされたからかしら。彼はいつも紳士的で、私にはとてもフレンドリーだったのに、変に誘ってきたりしなかったわ。でも、私はそれを待っていたのに・・・。実は彼を相手にした恋愛シミュレーションゲームを、こっそりプログラムしたこともある。本当のこと言うと、ちょっと気になる存在だった。・・・うーん、それにしてもこのシリアル飽きちゃった。コーラが飲みたい。私は水をかけただけのシリアルを食べるのをやめた。

 1ヶ月が経過した。もうストレスの限界。何もない単調な毎日。時々、小屋の窓から外を眺めても、何も新しいことがない。廃れていく景色の一部を見てるだけ。だから、運動をすることで時間潰しをしてる。腕立て伏せが30回連続で出来るようになりそう。
 でも唯一、時を忘れて没頭できることもあった。地下室に置いてあったクラークさんのPCは、どのソフトを立ち上げても、パスワードが必要で役に立たない。だから私はその空きスペースに、パスワード解析ソフトをプログラムしてみた。
「んー、やっぱりダメか。さすがに元将軍のPCね。プロテクトが複雑で一筋縄じゃ行かないな」
でも私はプログラミングのプロ。どんなシステムでもハッキング出来る自信がある。これまで違法なことは出来なかったけど、今は腕が鳴る思いよ。