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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 3 「フェニックス」

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第十一話 仮想現実の世界



 私は一人、危険を承知で、ホログラムチャンバーに入り、問題のプログラムを起動した。
 外ではケニーがモニタリングしてるけど、ついさっきまで、恋人みたいな関係だったのに、今はもうアイツのこと、大っ嫌い。でも、今はそんなこと気にしてる場合じゃないって分かってる。私達の行動が敵にばれて、このホロチャンバーを破壊でもされたら大変だ。敵の襲撃に備えて、この施設をニール達が守ってくれているけど、私は一刻も早く、“ソリューション(解決策)”を見つけ出さないと。
 でも、そのホロプログラムは自由に編集することは出来なくなっていた。Administrator(アドミニストレーター)権限は私にあるはずなのに。
 よく調べてみると、上位にTrustedinstaller(トラステッドインストーラー)の権限が、別途設定されているようね。その権限を持っているのは『L(エル)』。誰かしら。
「コンピューター。エルとは誰のこと?」
『エルは、このホロプログラムの主人公です』
(このコンピューター、すごく流暢に話すわね。さすが私のプログラム)
「主人公って、今はホロプログラムを体験する私が、主人公じゃないの?」
『いいえ、違います。ホロキャラクターであるエルが、主人公であり、このキャラクターによる行動が、ホロシミュレーションの筋書きとなっていきます』
(AIがエルの行動をシミュレーションしているのか、エル自身がAIの母体なのか?)
「エルに会いたいの。エルを起動して」
『エルはここにはいません』
「ここに呼び出してちょうだい」
『それは出来ません。現在エルは、ストーリーを展開中です』
(そうか、バックグラウンドで、常にストーリーを継続しているって話だったわね)
「じゃ、私をエルのいる所に案内してちょうだい」
『では、ケープカナベラルのスペースポートから、外宇宙旅客船に乗船してください』
「どこに行けば会えるって言うの?」
『惑星アップルです。現在最新の宇宙船で、約12年間の宇宙旅航が必要です』
「そんなの面倒よ。すぐに惑星アップルの場面を起動してちょうだい」
『操作を実行する権限がありません』
「な、何ですって?」
『編集する権限を持つのは、エルだけです』
「分かったわよ」

 エルに会おうと、コンピューターにエルの居場所を問い合わせて、惑星アップルの存在を知ったものの、その星をホログラムで再現しようとしたら、私には権限がなく、途中からプログラムを開始できないって言うの。
 一からプログラムをスタートするしかなかった。地球からアップルまでは、宇宙船で12年かかるらしい。エルと連絡を取るにも、先進波通信とやらで、送信だけで200日かかるんだって。返信が来るまでにさらに200日。
 現実の地球に、そんな猶予はもうないわ。

 散々悩んだ末、私は賭けに出た。通信のやり取りで一年以上待つより、12年かけて宇宙旅航した方が、現実には早く済むと。つまり、コールドスリープ(人工睡眠)に入ると、私は意識を失くす。その間コンピューターは、実際には時間をかけずに、12年分プログラムをスキップするはずだわ。
 私は宇宙船に乗るために、この仮想現実の世界のフロリダにある、ケープカナベラル・スペースポートに急いだ。



  目が覚めると、いつも耳鳴りがする。
    体が冷えているわけではないのに、暫くは足を思い通りに動かせない。

 どうしたのかしら、外が静かだわ。気がはやるけど、目が開けられない。そうか、コールドスリープ。私は今、宇宙船の中だったわ。

 プシューーーーー。人口睡眠キャスケットのシールドが開いた。船内のこもった空気の匂いがした。眩しい・・・。私は言うことを聞かない体を起こした。そして再び、目をギュッと瞑って考えた。

 まだ頭がボーっとして、よく状況を思い出せない。私が今ここにいる理由・・・。

 そうだった。あんなことがあったから・・・・・・エルに会いに来たんだった。