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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 3 「フェニックス」

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 サイレンも鳴らさず、パトロールビークルがやってきた。あの車は動いているのね。でも中から降りて来たのは、お巡りさんじゃなくって、パトロイド80EXが2体。
「面倒ヲ起コシテイルノハ、アナタデスカ?」
パトロイドはクラークさんに詰め寄った。
「何だ貴様ら、ワシに文句でもあるのか?」
「あなた、やめてくださいな」
クラーク夫人が間に入って止めようとした。するとパトロイドは、
「ウルサイ。公務執行妨害デ逮捕スル」
もう一体のパトロイドが夫人の腕を掴んで引き倒した。
「やめないか!」
 「何するんだ!」
  「やめろ!」
周囲の住民が口々に叫んだ。すると即座に、列を統率するメカロイドが、
「落チ着イテクダサイ。住民ニ危害ハ加エマセン」
でも、私も黙っちゃいられない、玄関先まで来たメカロイドに、
「お年寄りなのよ、あのパトロイドひどすぎるわ」
するとそのメカロイドは、穏やかに私の左肩に手を置いた。
「アナタモ、早クコチラニ来テクダサイ」
何か危険な違和感を感じる。
「・・・あ、忘れ物しちゃったの。ちょっと探してくる」
「荷物ハ必要アリマセン」
肩を掴む手が強くなった。
「大切なものなのよ。すぐ戻るから」
「アナタニモ警察ガ必要デスネ」
「(そうだわ!)・・・Fab62X−20680920−CM2008オーバーライド」
 私はプログラマーに与えられた権限、再プログラム実施の音声コマンドを試してみた。その瞬間、目の前のメカロイドは動きを止めた。
「よろしい。では、私の事は放っておいて、列に戻ってちょうだい」
「分カリマシタ」
そのメカロイドはおとなしく列に戻った。