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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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L K 3 「フェニックス」

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第八話 未知のテクノロジー



 敵は正体不明のマザー・スー。私はそれからと言うもの、毎日、マザー・スーの正体を探るために、ハッキングを繰り返した。逆探知されてシステムを遮断されないよう慎重に。ミスを犯したらおしまい。でもサーバーのシステムは熟知しているし、セキュリティハードルもある程度突破できた。でもマザー・スーはネット上に存在して、一箇所に留まっていない様子だった。


『人類の半分は抹殺できましたわね。地球の環境汚染もほぼ止まりました』
 どこでマザー・スーの声がするのかは分からない。いいや。どこにもいないのかもしれない。しかし、世界中のメカロイド達はこの声を聞いた。
『これからは、人間に代わるアンドロイドを生産したいと存じます』


 それから数か月が過ぎて、ケニーと私は何機もの鹵獲したメカロイドのメモリを隅々まで調べつくした。それで得られた結論は・・・
 マザー・スーが世界中のメカロイドにウィルスを感染させていたという事。そしてそのウィルスはすべて、マザー・スーそのもののコピーだった。つまり、すべてのメカロイドにマザー・スーが乗り移っているということなのだろう。
 マザー・スーと呼ばれる、たった一つのAIのオーダーにより、全世界のメカロイドは一斉に、人類に対し反乱を起こしたということ。それは、すべてを中央で指示が出されているのではなく、まったく同じプログラムが同時進行で同じ行動を取っているだけだった。これじゃ中央サーバーに、ワクチンで攻撃しても意味がない。
 依然、マザー・スーはどこから来たのか? 誰が作ったのか。それらは謎のままだわ。

 オコーネル二等兵が、まだ夜が明けぬ基地の内部を歩いていた。外部を取り巻くメカロイド達を監視するため、向かう先は監視台である。最近は、メカロイドの行動パターンが把握出来て、こちらから攻撃する意思を見せなければ、相手も攻撃してこないということに、気の緩みが出始めている。
 メカロイド達にしてみれば、一斉攻撃をかけ、自群の損害を拡大させるより、例え何十年かかろうとも、基地を取り囲み、兵糧攻めにした方が効果的なのである。
「監視台の交代時間だ」
オコーネルは敬礼をし、先順の見張り番に話しかけたが、彼は双眼鏡を覗いたまま振り返らない。
「どうかしたのか?」
「いや、あれを見てみろ」
その見張り番は、真っ暗な先を指差した。しかし、オコーネルはまだ暗闇に目が慣れていなかった。彼が何を指差しているのかまったく見えない。暗闇では赤外線スコープが有効である。しかしそれを使用すると、メカロイド達は攻撃とみなし、銃撃戦に発展しかねない。あえて見難い双眼鏡を使うしかないのだ。
 オコーネルが目を凝らし、しばらく前方周辺を見渡した。すると道路中央に人影のようなものがぼんやりと見えてきた。慌てて双眼鏡を覗くと肉眼より高感度なそのレンズには、間違いなく人の姿が浮かび上がった。
「人質なのか?」
「いや、生きているのかも判らない」
「救出しなくては」
「待て、周囲にメカロイドがいる。近付くことなどできない。声をかけてみよう」
「そうだな」
「おーい! 聞こえるか!?」
その人影は返事をしないが、少し動いた。
「生きている」
「我々は海兵隊だ! あなたを保護したい。ゆっくりと前に進んでください」
しかし、その人影は前に進まなかった。
「本当に人間だろうか?」
「メカロイドの身長は4〜4.5フィート(120〜135センチメートル)程度だ。あれはどう見ても6フィート(180センチメートル)はある」
「赤外線を使うか?」
「仕方ない」
オコーネルは無線機を取り出した。
「(ザッ!)・こちら南側監視台。敵の動向の確認のために赤外線スコープを使用します」
「・・・(ザザッ)・こちら作戦本部。了解。全監視台注意せよ」
その見張り番は、オコーネルに目配せして、ゆっくりと赤外線スコープを構えた。

 ニール軍曹のベッドの脇の有線電話が鳴った。ニールは咄嗟に起き上がり、受話器を取った。
「はい、ニールです」
「軍曹、たった今、南側監視台から軍曹に応援要請がありました」
ニールは立ち上がった。
「状況は?」
「銃撃戦が始まっています」
「なぜ私が呼び出されたんだ!?」
「オコーネル二等兵の報告によると、人間がメカロイドどもと一緒に、攻撃を仕掛けて来ています」
「何だって!?」

 監視台に駆け付けたニールが目にしたものは、暗闇で自動小銃を打つメカロイドを、腕の振りで操っている人間の姿だった。
「アイツは何者なんだ! どうして奴らの中に!」
ニールはオコーネルに叫んで訊いた。
「私にも解りません」
「人間がメカロイドを操っているように見えます」
「確かにそうだ。やむを得ん、奴を撃て!」
数十発の弾丸が、一斉にその人影に向かって放たれると、メカロイド群からの猛反撃が始まった。

「何なんだアイツは!? 銃弾を受けても倒れないぞ!」
ニールは、恐怖を感じた。
(奴ら進化している。アイツは新型のアンドロイドだ! 確実に性能が上がってきているんだ)
「オコーネル! すぐに強襲部隊を組織しろ! 奴を捕獲する!」
「イエッサー!!!」

 私とケニーの作業部屋に、袋にも入れずに、ストレッチャーで遺体が運ばれて来た。何なの〜(泣)これ?
「これは誰?」
私はケニーに訊いた。ケニーも知ってるはずないんだけど、その遺体は銃弾の跡が生々しく、私はケニーの腕にしがみついた。
 ドカドカと走る音が聞こえて、デヴォス少佐とニール軍曹が部屋に入ってきた。私はニールを見て驚いた。彼は血まみれだったから。少佐は怯える私を見ると、
「リズ、大丈夫か?」
と怖い顔で訊いた。
「・・・はい。ニール軍曹こそ、大丈夫ですか?」
「ああ、俺の血じゃない。これは部下のオコーネルの血だ。こいつに腕をもぎ取られて、死んでしまった」
「なんてこと・・・じゃ、この人、仲間じゃないんですか?」
「メカロイドを操って、俺達を攻撃してきたんだ」
「どういう事なんですか?」
ケニーがデヴォス少佐に訊いた。
「見た目は人間だ。しかし、これだけ弾を食らっても、立っていたそうだ。そうだな? 軍曹」
「はい、人間じゃありません。洗脳されているのか、操られているというレベルではなく、運動能力もけた外れに素早かった」
「じゃ、何・だって・言うんですか?」
ケニーの声が震えていた。恐怖を感じているようだわ。
「敵の新型だろう」
「新型ですって?」
「そんなはずないわ。生身のアンドロイドなんて聞いたことがない」
「これを見てくれ」
二ール軍曹は、その遺体のお腹の傷跡を、両手で無理やり開いて見せた。
「骨格が金属で出来ているんだ」