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悠久たる時を往く 〜終焉の時、来たりて〜

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 残るは冥王ザビュールと彼の麾下《きか》の天魔《デトゥン・セッツァル》。彼らを滅ぼせば、アリューザ・ガルドは闇から解放されるのだ。英雄と、彼女に付き従う者たちはついに“暗黒の城塞”最深層に突入した。

 人間は冥王を、聖剣でのみ傷を与えられる。しかしそれだけでは彼が滅することはない。英雄イナッシュがかつて為したとおり、打ち倒し、深い眠りにつかせたあと封印するほか策がないのである。

 人間が冥王を討ち滅ぼすには――

 彼と対峙したとき、“光”を魔導として発動させること。
 同時に、“滅びのことば”を一切あやまたずに発動させること。
 これらをなにがあっても継続させること。
 ザビュールは物質界たるアリューザ・ガルドに顕現したが、物質界の理《ことわり》に縛られているわけではない。彼は“魔界《サビュラヘム》”の創造主として、かの世界独特の理《ことわり》を創りだした。それは物質界に顕現した現在も続いており、冥王の周囲には“魔の理《ことわり》”とも言うべき事象が常時発動し、超常的な力を冥王にもたらしている。これを打ち消し、物質界の理《ことわり》に固定させなければ冥王を捉えることはできない。魔導の行使はそのためのものである。

 聖剣と暗黒剣を一つの剣のごとく振るうこと。
 “光”と“闇”を一つところに束ねて両者を共存させること。かつ、聖剣のみの力を行使すること。
 これら大矛盾が人の手によって行いうるのであれば、“運命”は世界の変革を認め、ここではじめて人はザビュールの肉体ではなく神核に皹《ひび》を入れることができる。

 以上、奇跡とも言える事柄を余すところなく行使したとしても、いまだアリュゼル神と人間という覆しようもない歴然とした力量の差、器の差があるのだ。あとは“運命”のもと、英雄たちに任せるほか無い。

◆◆◆◆


[“魔界《サビュラヘム》”の終焉]

 ついに英雄たちは冥王の下に辿り着いた。数多の天魔《デトゥン・セッツァル》や魔龍《イズディル・シェイン》らと死闘を繰り広げ、また身を挺してイリーカとアレーヴの二者を守り通した“ダフナ・ファフド”も多くが命を落とし、今やイルビスほか二名を残すのみ。しかし冥王と対峙するのは彼らではない。これは英雄と、大魔導師が為さねばならないことだ。

 二者と冥王は共に語る言葉を持たない。もしかすると我々の知らない領域で論じあったのかもしれないが、ともあれ――英雄イリーカは、ふた振りの剣を構える。それにあわせて大魔導師アレーヴが瞬時に“光”と“破壊のことば”とを同時に発動させた。

 時を同じくして、アリューザ・ガルド全土に轟音が響き渡り、暗黒に染まった空一面が眩く光り輝いた。世界は超常の様相を呈し――それから――

 一瞬のことだった。あらゆる理《ことわり》、制約を打ち破り、英雄と大魔導師はまたたく間に幾万、幾億もの凄まじい攻防を繰り広げ、ついには冥王ザビュールの神核を聖剣が打ち砕いた。冥王の体からはいく条もの暗黒の波動が吹き出す。アリュゼル神族の一柱にして冥王、ザビュールの最期だ。

 しかし――忽然とその場に現れた、得体の知れない“負”の球体が、イリーカとザビュールを急襲、彼らは球体もろともいずこかへと消えてしまった。“天界《アルグアント》”でも“魔界《サビュラヘム》”、四つの事象界でもなく、いかなる次元にも属さない、いずこかへ。

 かくして、ハーヴァンの予言はここに全て成就した。
 すなわち、英雄たちによって魔はことごとく討たれたのだ。“魔界《サビュラヘム》”の遺跡は消え去り、いずれ暗黒の時代は過去のものとなるだろう。アリューザ・ガルドに多大なる痛みを残して。
 また、最後にこうもある。

『世界は新たな変革の時を迎える』