赤のミスティンキル その後の物語
(三)
ミスティンキルは、ハシュオンと共に野山を歩き海を渡り、自然のあるがままの姿を学ぶ一方、エリスメアから魔法の基礎を教わった。彼女はハシュオンの館の近くに学校を設け、魔法学を教えているのだ。学校の長はハシュオンが務めている。
一年も経つ頃には彼はごく初歩の魔法を行使できるようにまでなっていた。
ある時、ミスティンキルはハシュオンに訊いた。
「我が師よ。かのスガルトが弟子、フィエルが目論んだこととは何なのでしょうか」
ハシュオンは長考したのち、口を開いた。
「私とて容易に分かるものではない。魔法使いが目指す頂きは、すべての“色”を合わせ、“光”を作り上げること。だが、おそらくその魔女が目指したものはそこではないのだろう」
「ではやはり魔導王国の復活? それとも不死の研究でしょうか」
ハシュオン卿はかぶりを振った。
「それを知ったところで私たちに影響を及ぼすものではない。それよりも今は、君が為すべきところを為さねばならない。勉めを続けなさい」
作品名:赤のミスティンキル その後の物語 作家名:大気杜弥