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赤のミスティンキル その後の物語

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(二)

 ミスティンキルの心身が安定した頃、ハシュオン卿は館にアザスタンとハーンを招いた。
 彼らによって、あの時、ラミシスの島で――メリュウラ島と、ウィムリーフが命名したあの島で何が起こったのかが静かに語られた。

 激しい魔力のぶつかり合いと、オーヴ・ディンデに仕掛けられた魔法の発動によって、島のあらかたが吹き飛んだこと。
 間一髪、ハーンたちがミスティンキルとアザスタンを見つけ、救ったこと。
 ウィムリーフの姿はなかったこと。
 魔法の暴走によって空間がゆがみ、ハーンは神族としての力を使って、島のあった領域を閉じ込めたこと。
 しかし神として世界に干渉しすぎたため、ディトゥア神族の長イシールキアから当面の干渉を禁じられたこと。
 ミスティンキルはハシュオン卿のもとに届けられ、卿の指示によって近くの漁師の村がミスティンキルの住まいとしてあてられたこと。その際、アザスタンが自ら望んでミスティンキルの世話をし、近隣で彼の様子を見守っていたこと。
 ハシュオン卿はテルタージ夫妻のもとに赴き、ウィムリーフの身に起こった委細を告げたこと。
 この二年間は何ごともなく、平穏に過ぎていったこと。

 話がひとしきり終わったところで、ミスティンキルはか細い声で問うた。
「おれは、どうすればいいのでしょうか……」
 年老いたハシュオン卿は答えた。
「魔導を、魔法を学ばなければならない。己と向かい合わねばならない。そのためにまず自然の姿を知らなければならない。私がそなたを導こう。ミスティンキルよ、臆せず付いてくるのだ。魔導を復活させた者として、今後は正しき道に則って世界の秘密に触れていかなければならない」

◆◆◆◆

 こうしてミスティンキルはハシュオン卿を師として、魔法使いの心得を学び始めるのだった。しかしミスティンキルは、彼自身が封じてしまっているのか、魔法がまったく行使できなくなっていた。
 ハシュオン卿は彼に、身近にある魔力を感じ取れと告げる。今までミスティンキルは何も知らないまま、魔法の頂点、極致に至っていた。いずれそこへまた辿り着くために、まずは魔法使いとして知るべき世界の有り様から、正しく理解せねばならないのだ。それはとても時間がかかることだ。だがミスティンキルは口答えや反発などせず、素直に従った。彼の不遜な態度はなりを潜め、人として成長したのだ。そのために失ったものもまた大きかったのだが――

 人の姿をとったアザスタンは、館の離れに一人住まう。
  ――私の目の代わりとなって、あの者達の紡ぐ物語の行く末を見届けるのだ――
 龍王イリリエンよりの命を遂行するために。自らの探求のために。友人のために。