オヤジ達の白球 41話~45話
「次の打者は誰だ?」
「俺です」と岡崎が手を挙げる。
「岡崎か。そいつは好都合だ。お前、足だけはそこそこ早かったな」
「だがもう歳だ。昔ほど速くはねぇ」
「大丈夫さ。
あそこで守っている3塁手を、もっとうしろへ下がらせるいい方法がある。
そのためには多少の演技も必要だがな」
「演技?。何しようってんだ、こんな土壇場で?」
「いいか。最初のストライクが来たら思い切り振れ。
ただし。間違っても当てるんじゃないぞ。
三塁手の方向を向いて、目いっぱい、これ以上はないというほどの
フルスイングして、空振りしろ」
「えっ・・・わざと空振りをするのか?」
(43)へつづく
オヤジ達の白球(43)駆け引き
「初球のストライクを絶対に見逃すな。
あいつ。初球のストライクはインコースへ投げてくることがおおいようだ。
その球を狙って思い切り、フルスイングをする。
ただし。ただの空振りじゃダメだ。
効果的な空振りにするために、ひと芝居、うつ必要がある」
「ひと芝居する?。なんだ、どういう意味だ。
俺にゃさっぱりわからないが・・・」
岡崎が柊の顔を覗き込む。
作品名:オヤジ達の白球 41話~45話 作家名:落合順平