オヤジ達の白球 41話~45話
「敵前逃亡の坂上さんのあとは、ミスターⅩさんですか。
なんともユニークなお名前ですねぇ。はい。わかりました。
選手の交代を特別にみとめます。
ミスターⅩさん。投球練習は5球でお願いします」
投手が代わるとき。5球の練習投球がみとめられる。
サングラスとマスクで顔を顔を隠した北海の熊が、のそりとベンチから出る。
そのままスタスタとピッチャーサークルまで歩く。
プレートの上に立った熊が、「投球練習はいらん!」と球審へつげる。
「あら。いいのですか? 練習しないで、本当に?」
「こんなことになるだろうと、ベンチの裏で汗を流してきた。
練習投球はいらん。いいからさっさとゲームをおっぱじめようぜ」
ぐるりと腕を回した北海の熊が、バッターサークルで待機している打者へ
早く打席へ入れと手で合図を送る。
連続の四球で3点を献上したあと、1アウト満塁の状態で試合が再開される。
速い球を投げる投手には、共通点がある。
腕の振りを速くすること。
上から投げる野球の投手も、下から投げるソフトボールの投手も例外ではない。
速い球を投げるために腕を早く振り、ボールの速度を生み出す。
さらに速い球を投げるために、足のさばきを速くする。
前足で強くプレート板を蹴る。蹴った力を利用して、前方へおおきく飛び出す。
一流の投手はピッチャーサークルぎりぎりの、2,44mのラインまで跳ぶ。
この動作が早いほど、腕の振りがさらに速くなる。
「お・・・」
作品名:オヤジ達の白球 41話~45話 作家名:落合順平