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オヤジ達の白球 41話~45話

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オヤジ達の白球(41)ミスターⅩ 

 「さ、坂上の奴。
 勝手に敵前逃亡するなんて、いったいぜんたい何を考えているんだ・・・」

 捕手の寅吉が坂上が消えていった球場の出口を、呆然と見送っている。

 競技中の選手は、いつでも交代することができる。
ただし。交代するためには、監督が球審に交代の通告をしなければならない。
監督が球審に通告したとき。はじめて選手の交代が成立する。
選手が勝手に交代を宣言するなど聞いたことがない。
まして、勝手に退場してしまうなど、前代未聞といえる不祥事だ。

 「非常事態が発生しました。事後承認という形で選手の交代をみとめます。
 居酒屋チームの監督さん。かわりの投手がいれば通告してください」

 千佳がドランカーズのベンチを振りかえる。

 「あっ、はい。ではミスターⅩが登板します」