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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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第二話 パートナー



カポッ・カポッ・カポッ・カポッ・カポッ・カポッ・・・

 キュウが馬に乗って基地に帰ってきた。今日も天気がいい。この季節は雨が少なくて、水が不足すると酸素供給量に影響するから、ダムの貯水量が気がかりなの。キュウはそれを確認して来てくれた。
「まだ、下限には届いてないけど、エジェクターの流量を2.2%上げておいたよ」
馬に跨ってそのたてがみを撫でながら、キュウがケイに報告した。
「よろしい。1.85〜2.95%で私の予想通りだ。乾燥が続くと、酸素は上昇傾向になるから、少し多めに放出しておいた方がいいだろう」
ケイはキュウの判断に満足そう。キュウも最近、よく勉強してるみたいね。
「ねえ、もう少し、馬に乗っててもいい?」
あれ? やっぱりまだ子供みたいな?
「こいつ、今日は機嫌がいいみたいなんだ!」
そう言うと、そのまま馬を走らせて行ってしまった。ケイはそれを無言で見送って、
「早くキュウの世話役を付ける必要があるのではないですか?」
「ま、何も急ぐことなんてないから」
私はケイの疑問に、危機感なんか持たずにそう言った。アップルで暮らしていると、平和な時間が永遠に続きそう。そう思って、やりたいことからやる。これは私の悪い癖。

 私とケイはラボに戻った。今日から80(ハチマル)の製造に取り掛かるためよ。
 難破した科学調査船から持ち帰ったデータバンクから、メカロイドの設計ファイルを基に、80(ハチマル)のパーツを3Dプリントするんだけど、昔の80(ハチマル)シリーズには金属のパーツも多く使われていて、摩耗に対してメンテナンスが欠かせなかった。でも、私の頭内シェルやジェイの骨格に使われているような強化セラミックスは、硬度が高く頑丈で、数世紀は劣化もしないのよ。だから、それに置き換えて造ろうって、ケイの発案。その材料は、半万能元素のインフィニチウムで賄える。きっとうまく行くわ。