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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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「ええ、ケイを機能停止させずに済みましたから」
「いや、そうではなく、安心とはどういうことですか? マダム・スーは不安を感じることが出来るのですか?」
「そのようものは感じられませんわ」
「しかし、安心したと言ったからには、マダム・スーの思考には感情が影響を及ぼしているのではないでしょうか」
「感情ですって、ケイ! 私に感情があるはずがないでしょう!」
「・・・今、憤りを感じていますか?」
「そうではございません。不本意な意見を制しただけですわ」
「お解りでしょうか? マダム・スー。言葉でコミュニケーションを取るというのは、こういう事態を招きます。だから信頼を得るためには、お互い訓練が必要なのです」
私はケイが話す姿をモニター越しに見ていた。マダム・スーに感情を理解させるための説明は論理的だわ。しかも自分に疑念を抱かれないように注意深く。ケイらしい。

「ケイ様は今日もホロチャンバーにお泊りされるのでしょうか?」
 ルージュが尋ねた。
「きっとそうね」
「寂しそう」
「え?」
「私にはエル様がとても寂しそうに見えます」
「そんなことないわよ。ホロチャンバーって言っても、すぐ近くなんだから」
「とても遠い存在になってしまうことを、恐れていらっしゃいますね」
「そんなことがあなたにも解るの?」
「私は人間に尽くすために設計されたアンドロイドです。その感情を読み取って対応可能です。でも、エル様のサポートを命じられて、私のプログラムが一部、機能不全に陥っていることに気付きました」
「どんなことが?」
「アンドロイドに尽くすということが想定されていなかったので、対象を人間からアンドロイドに置き換えた時、次の行動に移る速度が落ちてしまうのです。一種のプログラムのバグのようです」
「あなたをそんなふうに感じたことないわ」
「私の中での混乱を、表情に出す機能がないだけです」
「じゃ、もう気にしなくていいわ」
「はい。気に病む機能も備わってはいません。でも、このバグがエル様に対して、致命的なミスにつながらなければいいのですが」
表情を柔軟に変えることが出来ないメカロイドにも、そんな心配が出来るのね。でもルージュはそれを感情などとは認識していないようだけど。

 ジェイから報告があった。イエロービーの調子がおかしいようだ。インフィニチウムを純金のパックに保存している時、こんなやり取りがあったみたい。
「ジェイ様、この作業は私一人で行うのがいいかと思うのですが」
「なんでだよ」
「インフィニチウムは非常に不安定な物質です。あなたに危険が及ぶとよくありません」
「俺だってお前と同じアンドロイドだぜ」
「確かにそうですが・・・」
「どうしたんだ?」
「私はジェイ様を、人間として認識してしまう時があるようです」
「そんな勘違いするんじゃねえ」
「プログラムに不具合があるのでしょうか?」
「じゃ、一度ケイに見てもらおうぜ」