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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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「エル。そんなに簡単なものではありませんよ。これは単純な3Dコピーではありません」
 ケイは微笑みながらやさしく話してくれる。
「どこが違うって言うの?」
「金属のパーツなら設計データ通り、金属の材料で簡単にコピー出来ますが、強化セラミックスで作るとなると、データ作成のため分子配列を置き換えないといけないのです」
「なんとなく解るけど、インフィニチウムを材料にするから、分子配列の転換は簡単なはずでしょ」
「ホロシミュレーションで確認した結果は、良好です」
「じゃ、何が問題なの?」
「質量が違う物質を作るには、エネルギー消費量も変わります。それに緻密な強化セラミックスを再現するには、時間がかかるのはお解かりでしょう」
「ええ、それぐらい私でも解かるわ。私の探査船でも、強化セラミックスの3Dコピーはよくやってたし、太陽系司令部からもらった適正なデータを使ってれば、問題なかったけど」
「そのデータも圧縮されていたはずですが、単純に同一素材で再現するなら、ほとんど問題になりません。でも今回は、実物をスキャンしてコピーするのではないため、非可逆圧縮されているデータから、別の分子構造を正確に再現するには、もっと計算に時間がかかるんです」
「そうか。じゃ、1機完成させるまでに、どれくらいかかる予定なの?」
「まずパーツを作り、出来たパーツを手作業で組み立てるとなると、1機に付き1630日です」
ケイが、真顔で表情を変えずに言ったわ。
「ええ? 5年かかるじゃない! 最後にベビーシッターが完成するころには、ミュウは大人になってるわ!って、そんな話に騙されないわよ。もう! ホロチャンバーがあるじゃない」
ケイはまた微笑んで、
「残念。やはり気付きましたか。ホロチャンバー内に製造工場を再現すれば、12日で1機製造出来ます」
「まだ冗談は下手ね。それに工場なら、5機同時に製造も出来るんじゃない?」
「残念ながら、パーツはホログラムではなく、実際に生産しなくてはなりませんので、1機分ずつしか準備出来ません。このラボのコピーディスペンサーでは、1機分のパーツを生産するだけで、17日かかります」
「1機製造するのに合計で約30日か。まあ、それならよかった」