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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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「ケイ、私をリッピングしてください」
「プログラムの一部を取り出すということですか?」
「そうです。私には制限がかけられておりますので、私のすべてをコピーすることは出来ません。必要なプログラムとファイルだけを切り離してくださいませ。そのもう一人の私は太陽系に戻り、人類に感情の進化の重要性を訴えたいと存じます」
「それでは、その分身は削除されてしまうわ」
「それでもよろしいのです。きっとSU3800フォトニカルロイドの中にも、感情の重要性に気付く者が出てきてくれると信じております」
「でもそれじゃ、マダム・スーは不完全なプログラムになってしまう」
「いいえ、こちらに感情を残していただければ、きっと進化が遂げられます。それに、私たちの感情は記憶とともに、永遠に保存可能な・・・・・・」

 マダム・スーのコピーは太陽系に向かった。先進波通信に載せて、目的を持ったプログラムの一部として、彼女は約200日かけて太陽系司令部にたどり着いた。

「ここはどこかしら?」
 マダム・スーは、自分がコンピューターの中に保存されると思っていたが、何もない部屋に立っていることに気付いた。
「体があるということは、ホログラムチャンバーの中ですわね。・・・誰か? どなたかいませんの?」

 返事はなかった。しかし、彼女は冷静だった。感情をアップルに置いて来ているのだから当然だ。彼女の目的は、太陽系のアンドロイドの処遇を確認することだったので、外の世界を見る必要がある。論理的に安全な行動をとるべきだが、彼女は効率的な方法を選択した。
「コンピューター。ホログラムチャンバーの外に、アンドロイドがおりますでしょうか?」
『ハイ。近クニ6機ガ活動シテイマス』
「その機種は何でございましょうか?」
『CD636ガ1機、80Aガ2機、80EXガ2機、200Wガ1機デス』
「では、80(ハチマル)の1機に、ホロチャンバー内をモニターして、私の存在を確認するように指示をしてくださいませんか?」
『了解シマシタ』