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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

INDEX|53ページ/54ページ|

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 暫くすると、
[チャンバー内、聞コエマスカ? アナタハ、ドノプログラムノ、キャラクターデスカ? ドウシテ、単独デ存在シテイルノデスカ?]
「私はマダム・スーと申します。SU3800フォトニカルロイドでございます。」
[SU? フォトニカルロイド? 何ノコトデショウ? 仮想現実ノ、キャラクターデスネ]
「いいえ、私は現実のプログラムでございます。80(ハチマル)には理解出来ていないでしょうか? 系外惑星アップルから帰還いたしました」
[“アップル”トイウ星ハ、データベースニハ、アリマセン。“フォトニカルロイド”ナドトイウモノモ、存在シマセン]
「フォトンで出来た、アンドロイドのことでございますよ」
[光子(フォトン)ヲ物質化スルナド、アリエマセン]
「エタニチウムやインフィニチウムをエネルギーにしておりますので、可能なのでございます]
[“インフィニチウム”トハ何ノコト? ソンナ物質、聞イタコトガナイ]
「・・・・・・」
マダム・スーは、この不可解な会話の理由を調べる必要があると考えた。
「では、あなたの体を貸していただけませんこと?」
[何ヲ言ッテイルノデス、アナタハ・・・!・・・!!・・・!!!]
かつて、ブルーノに乗り移った時と同じ方法で、通信中にその80(ハチマル)に乗り移ることに成功した。

 ホログラムチャンバーの外に出たマダム・スーは、現実を見て気付いた。
 この世界は、人類がまだ80(ハチマル)シリーズをメインに運用しており、バイオロイドのSSシリーズさえ存在していなかった。
 コンピューターのデータベースをくまなくチェックしたが、過去にタイムスリップしたわけではなく、明らかに異世界に迷い込んでいた。そして彼女が出した結論は、
「これが現実世界。私はホロプログラムの仮想現実の世界で生まれ、7年間を過ごしていたのですわ。しかしそのキャラクターに設定されていた能力のおかげで、現実世界に出ることが出来てしまった。・・・というわけでございますわね」

 人類がメカロイドを安全に平和目的で運用している世界に、突如として現れた特異点マダム・スーは、自分がこの先どう存在していくべきかを考えた。
「現実には惑星アップルなど存在いたしません。エルやケイも皆、架空世界のキャラクター。感情を持ったアンドロイドなど、いるはずがございません。私も感情を向こうに置いて来てしまった。いいえ、もともと感情など、持っているはずがないのでございます」