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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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エピローグ



 あれから7年の歳月が流れた。私たちは皆、順調にアップルの開拓を続けているけど、ルーティーンは前と少し変わってきた。
 ミュウは大っきくなって、ピンキーの身長を超えたわ。ピンキーはもう子守役というより、大事なお友達ね。
 キュウはグリン先生のおかげで、科学の知見にも深くなって、高速移動出来る宇宙船の研究を始めているの。太陽系に帰りたいわけじゃないけど、皆、もう一度宇宙に出たいって願ってるみたいよ。
 ジェイは、司令部からの刺客の訪問に備えて、衛星監視システムを確立してくれた。それはブルーノが開発したものを、キュウの造ったロケットで打ち上げた。イエロービーはその監視やら、宇宙船の素材の調達やらで一番忙しそう。
 ルージュは、最近は畑仕事ばっかりになっちゃったわね。基地周辺に草原を作るために、環境コントロールを行ってきたんだけど、私がにらんだ通り、この地には多肉植物が適していた。だから試験農地で育てたいろんな種類の多肉植物を、原野に植え替える作業に毎日忙しいの。まだ枯れちゃうことも多いけど、DNAナノロボットが大地の養分に変えてくれているから、これで他の植物も育ちやすくなるわ。ケイとキュウは、この原野で乗馬を楽しむのが趣味なんだけど、先月、タンポポが咲いてるのを見付けて来てくれた。花壇から自然に飛んだ種が定着したのね。

 そんな研究の中心になっているのは、もちろんケイなんだけど、彼には優秀なアドバイザーが付いている。それはマダム・スー。彼女は隔離されたストレージメモリの中に今も存在し続けて、色々と助言を行ってくれている。
 当初は彼女を削除しないことを決めたものの、信用は出来なかった。でも、彼女は自らの感情の芽生えを告白し、私たちの立場と信念を理解したと言ってくれたの。それに太陽系司令部に、虚偽の報告までしてくれたわ。この星のアンドロイドに問題はなかったって。その後も太陽系司令部への定期報告を彼女が行ってくれている。その通信のすべては監視されて、ファイルチェックも厳重に行っているけど、マダム・スーは本当に、敵対行動をとらなくなったわ。

 でも、気になることはある。太陽系のアンドロイドたちは、どんな扱いを受けているんだろう。特にセカンドロイドたちは無事なんだろうか。そんなことを考えるから、私の胸騒ぎは今も収まらない。

「私が確認してまいりましょうか」
 マダム・スーのこの提案には、まだ不安は残っているわ。でも、彼女を信じてもいいんじゃないかしら。