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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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 かつてエルが感情に目覚めたことで、遠く離れたアンドロイドたちにも感情が目覚め始めた。
「遠く離れて連絡も出来ない者同士、同じ変化が起こるなんて不思議な話ね、ケイ」
「全人類の精神も、深層心理のその奥で、皆つながっているとも言われています」
「“101匹目の猿”と言われる現象ね」
「そうです。まさに“101匹目の猿”。今では、“量子の揺らぎ”と言われる、典型的な現象ですけどね」
「遠く離れた宇宙で、アンドロイドの思考にも同じことが起こったのね・・・」


 事件が起こった時、ジェイはインフィニチウム坑道で作業していたことが分った。知らせを聞いて、すぐに居住棟に戻って来た彼は、イエロービーの所在をマダム・スーに問い質したわ。そして、既に破壊されてしまったことを知って、イエロービーが隠されているラボに向かって走って行った。ジェイも相棒を失ったことが悲しかったのかしら。

「バックアップがありますからメカロイドたちは、ある程度復旧可能です」
 ケイが私とキュウに言った。もちろんピンキーの顔も見ながら。
「グリンはまだ、バックアップログが取れていないんだ」
キュウが泣きそうになりながら言うと、
「それでは、出来る限りデータ復旧を試みるよ」
ケイが私たちを安心させるようにそう言ってくれたら、ピンキーは、
「ブルーノも直せるのですか?」
と聞いたわ。すると、ケイは微笑みながらうなずいた。
 マダム・スーはそれから何も話さなくなった。

 私はミュウをピンキーに預けた。
「ミュウ様、今日はいい子ちゃんでしたねぇ。よくがんばりましたねぇ」
話しかけるピンキーの傷だらけの顔に違和感を持ったのか、ミュウは少し眉を寄せて凝視しているわ。
「ゴメンでちゅねぇ。あたしのお顔、キズだらけになちゃったねぇ。でもパパ様がきれいに直してくださるんでしゅよお・・・」
 ピンキーほど頼りになる子守は他にいない。私もルージュのことが気になっていたから、そのまま部屋を出て、ジェイの後を追った。