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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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 私はブルーノに向かってローダーの足を動かしたけど、ぬかるんでいる牧場の土の上じゃ、容易に動けないわ。それにライトローダーの操縦も苦手。しかも左手にミュウを抱えている。
 ブルーノをライトローダーで踏み付けようとしたけど、ブルーノは自ら転がり、直前に身をかわされてしまった。
「エル。無駄なあがきですわ」
 立ち上がったブルーノは、ライトローダーの左足にしがみ付き、よじ登ってきた。しかも後側に回って、私に右アームで叩き落されないようにして。
「やめて! ミュウは脅威になんかならないわ!」
「セカンドロイドが脅威なのではなくってよ」
「じゃ。何が悪いって言うの?」
「感情よ! それがある限り、反抗は止まらない!」
私はブルーノを振り落とそうと、ライトローダーの機体を揺り動かしたけど、すぐに剥き出しのコクピットまで登ってきてしまった。この重機のアームでは、胸元のものを掴むことが出来ないの。

 ブルーノは、ミュウの首に手を伸ばしてきたわ。
「こんなの、首を絞めればいいだけ。簡単ですわ」
その瞬間、真っ赤な血に染まったステンレスの杭が、突然ブルーノの胸から、突き出した。
「ウギィィィィィーーー!!!」
ブルーノは叫び声を上げて、その杭を掴んだ。まるで血がブルーノの胸から流れ出たようだわ。それはさっき、牛に突き立てられた杭だ。
 そして、地面に落下して倒れるブルーノの側には、傷だらけの顔をしたピンキーが立っていた。
「おま・え、どうして・・? スクラップに・・・」
「あら、ブルーノ。知らなかったの? 私たちの骨格は、強化セラミックスで作り変えられているのよ。そう簡単に潰されたりしないわ」
 ピンキーはブルーノの首を抱え込み、その肩に膝を当てて引っ張った。
「悪い子は、こうよ」
 ★バキッ!
ブルーノの首はいとも簡単に、ボディから引き離されてしまった。
「私は赤ちゃんに危険が迫った時には、パワー制御のリミットが切れるの」
 ピンキーはブルーノの頭部を左手に掴んだまま、右手をミュウに伸ばして、
「ミュウ様、いい子ちゃんでいましたか?」
と、とてもやさしく言った。
 惑星アップルの夕日は赤くならないけど、その時それに照らされたピンキーのボディは、まるで焼けるように見えたわ。