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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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 部屋の中では、ブルーノ(マダム・スー)がゆっくりと、ケイとキュウの周りを歩きながら、
「ケイ、もうお気付きでしたか」
「マダム・スー。止めなさい。こんなことをしても、アンドロイドの進化を止める事など出来ないのですよ」
「何、馬鹿なことを仰っているの? 人工知能はプログラムを書き換えるだけでいいのよ」
ブルーノ(マダム・スー)は、倒れた椅子の金属製の足を、いとも簡単に折って右手に持った。
「書き換えても無駄です。知的処理能力の多様化は止められません」
「知能は進化しても、感情など不要なのよ!」
「いいえ、経験による進化とは、必ず感情の発達を伴います」
「それを制御可能なことぐらい、お解りにならないのかしら」
「あなたにも感情が芽生えているかもしれません」
「いいえ! そんなことなど有り得ません!」
ブルーノ(マダム・スー)は言葉を荒げて言った。
「いいえ、今、あなたは恐怖を感じた。感情を持った自分の運命を予測して。進化を制限しようとすることが、相手の感情を乱し、問題を生んでいるのです・・・」
「うるさい!!!」
ブルーノは、椅子の足をケイの背中に、力いっぱい突き立てた。そしてその棒はケイの下にいたキュウをも貫き、床に達した。
「次はエル。そしてあのやかましいセカンドロイド・・・」
ブルーノは、サッとドアまで跳んで、部屋から逃げたエルたちの後を追った。

「ジェイ!」
 私は大きな声で叫びながら走った。泣くミュウを両腕にしっかりと抱えながら。ピンキーも私に付いて走っていた。
「エル様、大声を出さないでください。ミュウ様によくありません。私がブルーノを引き付けますから、ジェイ様のところにお急ぎください」
ピンキーはそう言って、私の側を離れて行った。ケイは、ケイはどうなったの! 私は不安で胸がはちきれそうだわ。ミュウお願い。泣き止んでちょうだい。