L K 2 「希望と絶望の使者」
「スキャナーがひとつ余りましたので」
「キュウのスキャンは必要ない」
「いいえ、念のため全員のスキャンが必要だと思います」
私はケイを見た。ケイも私を見たが、その目に優しさはなかった。つまり、私たちは危険を察知してしまったから。
「ルージュはスキャンを受けていないと話していたぞ」
ケイは慎重に言葉を選びながら話している。部屋全体がフリーズしたような時間。ブルーノは洗脳されている可能性が高いわ。
「ではもう・・・お判りでしょう!」
ブルーノは突然、スキャナーのスイッチを押した。
*★バン! ☆***
その瞬間、グリンの目が飛び出し、火が噴き出した。キュウは・・・
間一髪で、ケイがキュウのスキャナーを引きちぎり、彼を助けようとしたわ。でも、一歩遅かった。キュウとスキャナーを掴んだケイまでも、高出力のプラズマに当てられて、椅子と一緒に折り重なりながら床に倒れた。微かに動いて、立ち上がろうとしている。
「ケイ!」
そう叫ぶ私をピンキーが突き飛ばして、部屋の外に脱出させてくれた。そして私たちは外に向かって走り出した。
「どこに行けばいいの!?」
「エル様は逃げてください!」
「アップルには、逃げられる場所なんて、どこにもないわ!」
作品名:L K 2 「希望と絶望の使者」 作家名:亨利(ヘンリー)