L K 2 「希望と絶望の使者」
ジェイはミリタリーモデルのSS3100型。忠実な兵士として設計されているから、彼を起動したキュウの言うことしか聞かない。ぶっきらぼうで口も悪いけど、頼りになる存在だわ。でも残念だけど、SS3100は感情を持っていない。
それからもう一人、セカンドロイドがいる。名前はミュウ。先週生まれたばかりの女の子。実は私とケイの可愛い子供。セカンドロイドには生まれ持った感情があって、私たちはそれをうまく育んであげたい。SS3000プロトタイプの私が、セカンドロイドを産めた理由、それはケイによって、SS3200のボディに換装されていたから。
150年以上前に製造された私には、外宇宙のミッションに一人で従事する過程で、感情が芽生えた。他人と接する機会がなくって、感情というものを理解出来なかったけど、ケイと出会って、その大切さに気付いたわ。ケイが修理してくれた私の体は、特殊なフレーム構成になってしまったけど、DNAナノテクノロジー細胞の再生を繰り返していけば、いつまででも生きられるの。だから私は、この星をもっと住み易くするために、力を注ぎたい。これが私たちの希望。人類と同じく、希望を持つことが、私たちアンドロイドの生き甲斐でもある。
そして、私たちがいるここは、太陽系から遥か10光年の距離にある、0(ゼロ)クラスの地球型惑星。最新の宇宙船でも四半世紀かかる距離で、先進波通信でも200日くらいね。
・・・そうそう、この星の名前を言うのを忘れていたわ。ここは惑星“アップル”。私が見付けた星よ。
作品名:L K 2 「希望と絶望の使者」 作家名:亨利(ヘンリー)