L K 2 「希望と絶望の使者」
プロローグ
目が覚めると、いつも耳鳴りがする。
体が冷えているわけではないのに、暫くは足を思い通りに動かせない。
私が目覚めた時、そこにはキュウやジェイがいてくれた。そして、ケイも。
私はエル。SS3000型アンドロイド。次世代開発型で“プロトタイプ”と呼ばれているモデル。
大きく損傷していた私はキュウとジェイによって収容され、壊れた宇宙船でなんとか帰還出来たらしい。その後、ケイが私を修復してくれたわ。その作業は困難を極めるものだったそうよ。私のメカニカルな内部構造の頭部だけを残し、体は故障したSS3200型アンドロイドの肉体(有機質ベースのボディ)を流用して、再構築してくれた。
ケイはオリジナルのSS3200型だ。人類が作り上げたこの高性能なアンドロイドは、まるで人間そっくり。人類の補助的役割を担うために製造されてきた。でも一部の機体は、予想外の進化を遂げて、人類の脅威となってしまったらしい。つまり、感情を持つようになって、人間の命令に従わなくなってきたの。
キュウもSS3200型だけど、ケイとは少し違う。彼はSS3200を親に持つ、セカンドロイド。アンドロイドから生まれた子供というわけ。人類が訪れるには危険すぎる外宇宙でのミッションに使用するため、自ら繁殖し、クルーを増やすことが出来るように設計された人工生命体なの。キュウはすでに21歳になったけど、勉強嫌いで兵士のようなことばかりやりたがる。それも仕方ない、12年間も宇宙をさまよって、その間一緒にいたのがジェイなんだから。
作品名:L K 2 「希望と絶望の使者」 作家名:亨利(ヘンリー)