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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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第六話 感情の種



 80(ハチマル)のCPUにフルスキャンをかけるのは簡単だわ。私たちSSシリーズの40分の1以下の時間で終わるはず、たった160分位。それで、不具合が見付かって修正出来れば問題ない。ケイはその作業のために、ラボに戻ろうとしたけど、私は無理にお願いして、それをブルーノにさせることにしたの。バックアップログを取っておけば、後からケイがエラーの修正も可能だから。だって私、少しでも早くケイと二人っきりになりたかったんですもの。

 私たち夫婦用の部屋には、小さいけど寛げるソファや、テーブル、キッチンもある。出来るだけ人間に近い生活をしようと心掛けているの。ケイがこの部屋に帰ってきたのは久しぶり。
「マダム・スーはどんな様子なの?」
ケイをソファに座らせ、私はその背もたれの後ろから、ケイの首筋に左手を回しながら話した。
「私の研究には協力的です。・・・ですが、ブルーノに対しては高圧的で、彼を個人として認めていないようですね」
ケイは私の左手に、自分の右手を重ねてくれている。
「機能が低いからなの?」
「というより、ただの機械と捉えているようです」
アンドロイドにもいろんな機種があって、より高度になるほど、下位の機種を軽く見る傾向にあると思うわ。でも思いやりを持てば、そんな相手でも尊重出来るようになるのに、マダム・スーにはまだ無理なようね。
「マダム・スーも感情を持てるようになるでしょうか?」
私は両手を彼の首に巻き着けるように抱きしめながら、
「ええ。大丈夫よ。プロトタイプの私に感情が沸くんだから。同じプログラムをベースにインストールされているんだとしたら、きっと彼女にも“感情の種”はあるはず」
ケイは私の方を振り返って、
「セカンドロイドの感情抑制が行われた際に、フォトロイドのプログラムからも、そのイシュー(問題点)は削除されていると思いますが」