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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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「いいえ、削除された部分より、削除されていない部分の方が重要なはずだわ」
私は軽くキスをした。
「それは、“まだ見付かっていないイシューがある”ということですね」
「そう、きっとそれが私の“感情の種”。見付かっていないから、私には疑いはかけられていない。あなたもそれを持っていると思うの」
私はケイを後ろから抱きしめたまま、床に両膝を着いて、彼の肩に顔を擦り付けてみた。
・・・彼の匂いがする・・・機械じゃない、汗の匂い。
「では、ジェイに感情がないのはどうしてでしょう?」
「ミリタリーモデル独特のプログラムで、私の“感情の種”の部分が、元からインストールされていないのかしら」
「では、その部分が特定出来ないと、マダム・スーもそれを持っている可能性があるか、判断出来ませんね」
「ふーん。でも、いつまでも居座られちゃ困るわね」
「なら、そんな話はやめにして、久しぶりに二人の時間をすごしましょう」
私は立ち上がって、
「ふふふ、じゃ、アップルパイを焼くから手伝ってくれる?」
「ええ、大好物ですから」


 その日の午後、ラボに80(ハチマル)の3機(3人?)が集まっている。ブルーノ、ルージュ、イエロービーである。それら(彼ら)はプログラムスキャンの準備のために自らのプログラムのバックアップを取得していた。その途中でも、お喋りのルージュは話しかけている。
「イエロービー、あなたは感情があるアンドロイドを、どう思う?」
「私には、どういうことか解らない。ジェイ様とルージュやブルーノの違いを、見た目以外で識別出来ない」
椅子に並んで座り、2体はまっすぐ前を向いたままで話している。