コンビニでバイトしてみた
「兄ぃはなんでバイトしてるんですか? もし良かったらうちに来て下さいよ。事務所で若い奴らに睨みを利かせてくれるだけで良いですから」
もう完全に893の会話である。
「一週間だけ頼まれたからね。もうお務めする気はないよ」
とりようによっては、お務め=ムショ行き ととれなくもない。
遠山君も帰って、シフトも終わり店内のイートインでバイト君に朝食をおごりながら、種明かしをした。
「もう~、脅かさないで下さいよ。信じちゃったじゃないですか~。オーナーに頼み込んでシフト変えてもらおうと思ったんですから」
しばらくバイト君は腰が抜けたように動けなかった。
この話を好い人に聞かせようと喜び勇んで向かう彼に彼女と一緒に食べるようにと、コンビニのスイーツをしこたま買って持たせた。
本日のバイト代の半分は消えてしまったが、なに、こんな日があってもいい。
で、どこまでが嘘でどこまでが本当の話かって?
あたくしの頭同様、みんなお毛が(怪我)なくて良かった、という例話(令和)でした。
作品名:コンビニでバイトしてみた 作家名:立花 詢