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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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グレイ家の兄弟 Lycanthrope

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 フレディは赤く細い布を粗く巻いたような露出の多いトップスと黒いベストのようなアーマーに黒の革パン、ブライアンは青い布を巻いたようなトップスと左腕をがっちり守っている黒ベスト風アーマーに黒の革パン、ロジャーは黄色い包帯を巻いたように所々肌の見える、軽くエロいトップスと黒の革パン、そしてジョンは茶色のトップスに両肩と左腕を守る黒いアーマーに黒の革パンといった服装に変わった。また、フレディは炎の翼、ブライアンは水の翼、ロジャーは雷の翼、ジョンは土の翼が背中に生えていた。
「ほう、コスチュームチェンジか。そのうえ翼まである。これはハードモードの上のハードモード、心が躍る!!」
 ライカンスロープは、G4のフォームチェンジに驚くどころかそれを待っていたかのようなリアクションをした。

 ディヴァインフォームになったG4は、低空に浮かびながらライカンスロープを囲んだ。フレディは自慢のスピンキックをしたが、ライカンスロープはイナバウアーのような体勢でそれをよけた。ブライアンは両手の親指を組んで両腕を突き出し、三角形を作った両手から激流を発射した。彼の技はライカンスロープの胸と左肩の間を直撃したが、人狼は少し体をのけぞらせただけで、平静な顔をしていた。その様子を見て、ブライアンは小さく歯ぎしりした。
 今度はロジャーが雷の短剣を作り出し、俊敏な動きでライカンスロープを攻撃を加えたが、敵のほうもロジャーを上回るスピードでよけ続けた。両者の攻防がやむと、ロジャーが息を切らしながら言った。
「こいつの強さ、異常だぜ」
 するとジョンが前に出た。
「兄さんたち、みんなそのまま浮かんでて」
 そう言うと、彼は右手を高く掲げ、手のひらで地面をたたくように勢いよく下ろした。その瞬間、直径100mほどの地割れが起こった。この威力なら、地面に足を着けるのはかなり難しいだろう。ところが、ライカンスロープはジョンが技を繰り出したのと同時に高くジャンプして宙返りし、ジョンに空中キックを浴びせた。
「うわあっ!」
 それをまともに喰らったジョンは地面に落ちた。
「ジョン!」
「大丈夫か!」
「立てるか?」
 兄たちはすぐに末弟のもとに飛んだ。
「うん、立てる、立てるよ」
 グレイ家の四男は、ゆっくり立ち上がった。

 ライカンスロープは、静かな喜びに満ちた顔で大きくうなずいた。
「そうだ。こういう『娯楽』を俺は待っていた…!」
「こいつ、控えめに言って『狂気100%』だな」
 長兄フレディのつぶやきに弟たちがうなずくと、G4はライカンスロープからある程度距離を取った。そしてフレディが両手を挙げ、文字どおりの「火の鳥」を出現させた。
「その命、燃え尽きろ!!」
 グレイ家の長男は持ち前の美声で叫ぶと、火の鳥は自ら羽ばたきながら、ライカンスロープに突進していった。
(…!!)
 火の鳥が見事にガルーの体を貫いた瞬間、その全身が炎上した。
「よっしゃあ!」
 フレディが軽くガッツポーズをした。しかし、それはぬか喜びだった。ライカンスロープは全身にやけどを負っていたが、何事もなかったかのように立って胸を軽くはたいたのだ。
「えっ、大技が利かない!?」
 フレディは愕然とした。

 次に、ブライアンが両手を挙げ、水でできた白鳥のような鳥を出現させた。
「もはや命乞いしても無駄だ」
 グレイ家の次男がクールに言うと、水の鳥は自ら羽ばたきながら、ライカンスロープに突進していった。ところが、水の鳥が体にぶつかる寸前に、ライカンスロープはまるで虫でもつぶすかのようにハンドプレスで水の鳥を粉砕した。
「何!?」
 ブライアンはしばらく固まった。

 ロジャーは両手を挙げ、雷でできた鳥を出現させた。
「この技から逃げれるもんなら、逃げてみな!」
 グレイ家の三男が威勢良く言うと、雷の鳥は自ら羽ばたき、ライカンスロープの周りを1周してその頭上まで飛ぶと、そこから急降下した。しかし、ライカンスロープは上方に拳を掲げ、雷の鳥をバラバラにした。
「えーー!マジかよ」
 ロジャーは悔し紛れに地面を強く蹴った。

 ジョンは両手を前に出すと、大量の土が出現し、ダチョウのような鳥の形になった。
「今謝っても、もう遅い!」
 グレイ家の四男が啖呵を切ると、土の鳥が3回地面を蹴った。力が十分にたまった土の鳥は、目にもとまらぬスピードでライカンスロープに突進していった。ライカンスロープは両手の鋭い爪による斬撃を放ち、土の鳥をたちまち砂塵に変えた。
「そんな…」
 自身の大技を破られたジョンの心は、絶望一色となった。