コート・イン・ジ・アクト3 少数報告
「アハハハハ」
とまた皆が笑った。ここで司会者が台本通りに、
「これはどういうことなんでしょう。そもそも多数決の話に、双子を使っちゃいけないんじゃないですか?」
「でも、そういう映画なんです。始まっていきなり三十秒のところで、『少女は予知した。だが双子はしていない』というセリフが出てくるんですよ」
「多数決じゃないんじゃん」
「そう。設定からすれば、少女の予知は間違いとしてハネのけられねばなりません。なのにそうなってない。この映画は最初の最初からデタラメなわけです。それでもこれが完璧なシステムのたったひとつの欠陥だった、と。これを理由に、この映画の殺人予知システムは廃止されて終わります」
「それはぜひ廃止してほしい」
「そうですね。でもその前に、余計な双子を外せば済む話のような気がしますが」
「アハハハハ」
とまたみんなが笑う。美咲は言った。
「とにかくもう最初から誰が見たって『殺人予知に多数決など言語道断』とわかるんですよ。なんで主役が当事者のくせに、全然それに気づかないのか……こんなの〈欠陥〉と言わないでしょう。〈欠陥以前〉の問題ですよね。双子で多数決しちゃあダメ!」
作品名:コート・イン・ジ・アクト3 少数報告 作家名:島田信之