不老不死ロリの国 第五部分
「でもこうして今も時間は進んでいるだろう。」
「あんちゃんがそのように感じているだけじゃん。この世界では3月1日が永遠に続いているじゃん。」
「時間がループしているというのか?」
「そうじゃないじゃん。毎日違う3月1日が起こっているじゃん。1日経ったら3月1日に戻り、記憶も残るけど、やっぱり3月1日じゃん。」
「よくわからないなあ。でもたしかに、3月1日以後の記憶はない。いや、昨日もその前も3月1日で、夏休みとか冬休みとか、あったけど、途方もなく、遠い前に思えるぞ。時間軸の実感はハッキリしているからな。こんな自然の摂理に反したことは想像できない。つまり、これは魔法の力だと言いたいんだな。」
「さすがお兄ちゃんだね。そこまで分かれば話が早いよ。時間停止にピリオドを打つために、協力してほしいんだよ。」
「う~ん。でも仮に時間が始まったとして、俺に何かメリットがあるのかな?」
「はあ?今さらそんなことをおっしゃいますの?もしかしたら、さっきの胸サービスでは足りなかったということですの?ならばもっと激しいプレイで強烈に痛烈に前頭葉を刺激して差し上げますわ!ハアハアハア。」
こっちの吝奈は、すでに胸に牙の剣を当ててぐるぐると回してオッパイを揺らしている。
「それじゃダメじゃん。劇薬を注入してほしいという、あんちゃんのささやかなサインじゃん。」
木憂華は巨大注射器を構えて、シリンダーを出したり入れたりというピストン運動を展開中である。
「ふたりとも間違ってるよ。お兄ちゃんは、」
「「お兄ちゃんは?」」
「スーパーさぶなんだよ。」
「なんじゃそりゃ!」
「俺のメリットはどこにいったんだよ?」
「あたしたちが魔法を使えるようになればわかる。これはカンタンなクイズだよ。今の女子高生では魔法が使えない。これがヒントだよ。」
「箱子さん。それでは答えを言ったのと同じですわ。ひねりがなさすぎ。」
「そうかな?あたしだったら答えにたどり着かないかも。」
「わかったぞ。でも若返りって、物理的にムリだろう。」
「それを考えるのがあんちゃんの役割じゃん。常識的な科学の範疇を超えたもの。そこにヤマンバがあるから登るじゃん。」
「あたしが登る?」
「モノの例えじゃん!」
「ちょっと待ってくれ。今のに何かが引っかかるぞ。ロリを人間の時間軸で考えるから話が進まない。モノの視点で思考するんだ。魔法はロリの姿でしか使えない。魔導具のレベルに合わせてるからだ。魔導具はロリの波長に合わせている。ならば魔導具を女子高生波長に合わせればいい。」
「そういうことか!それならカンタン!」
導具と言っても魔力を込める前はタダの物体。人間の体に比べたら、加工は容易であった。
「お兄ちゃん、できたよ。」
箱子が昆太に見せたナタは中ナタであった。以前のナタの1.5倍であった。
吝奈たちも魔導具を大きくして魔力受け入れの準備ができた。
「よし、みんな、来い。」
「お兄ちゃん、ハグッ。キモイよ~!」
「お兄様、クンクン。臭いですわ!」
「あんちゃん、その汚い毒血をいただくよ。プチュー。」
三人女子高生にくっつかれて、フツーなら、セクハラで逮捕される絵であるが、昆太には何の疚しい感情はない。
「あれ?このシチュエーションはどこか変だぞ。みんなから嫌がられて、しかも俺のメリットが存在感を一向に示さないぞ。」
「お兄ちゃん、物事は深く考えちゃダメだよ。あたしたちには十分メリットがあるんだから、それを共感すればいいんだよ。それが他人のために存在感を示す魔力供給源というものだよ。」
「それはわからないけど、とりあえずわかった。ところで、これからいったいどうするつもりだ。時間を止めた魔法使いを捕まえるということなのか?もしそうなら誰が魔法使いなのか、わかってるのか?」
「わかってるよ。うちの高校の校長だよ。」
「サプライズで、あたし。」
「いったい何を言ってるんだ?吝奈、木憂華。箱子は何か悪いモノでも拾い食いしたんじゃ?」
ふたりは宿題忘れの小学生のように下を向いた。
「箱子、正気か?どこかでヘンタイロリ王でも見たのか?」
「ヘンタイロリ王はここにいるよ。すでにタイホ衝動に駆られてるよ。自爆行動は慎んでよ。」
「その言動は天然系箱子らしからぬ冷静沈着さだけど、もしかして、箱子の中身は別細胞なのか?」
「中身が細胞とか、生物学的におかしいよ。じれったいから、中の人、交代してよ。」
(そこまで言うなら仕方ないよん。わかったよん。)
「その幼女のごとき喋り方。まさか。」
「この体はもえが乗っ取ったよん。」
「な、なんだと?しかし、今の会話から察するに、乗っ取ったというよりは同居、サザエさん状態じゃないか。」
「そういうことだよん。もえは箱子の同意の下で、この体を共有しているんだよん。」
「箱子、どうしてそんなことを許可したんだ?」
(宿題忘れて。校長つまり教師に責められて。)
「そんな理由かよ!」
(この学校で宿題がどれほど重いかお兄ちゃんも知ってるでしょ。)
「たしかに即退学だよな。この高校は超進学校で、学校のカリキュラム通りにやっていけば一流大学に確実に入れて、その後の進路も約束されているから、退学なんてイヤだよな。ちょっと待てよ。でも3月1日からカレンダーが動いてないのに?」
(だから、動き出すと、即座に退学になってしまうんだよ。お兄ちゃん、助けてよ!)
「でもメリットがないと。」
(問題解決したら、妹を差し出すよ!)
「妹?それはロリ王を満足させられるのか?」
(それは全然問題ないよ。完璧な幼女だから。)
「わかった。ならば協力しよう。」
(よかった。ならば校長、交代するよ。ぜひお兄ちゃんに倒されてね。)
「これが敵と言えるのか?まあ校長が自分で敵認定するならいいけど。」
「そうはいくか!敵認定しないなら攻撃されないなら、そっちを選択するだろ。」
入れ替わった校長は、当たり前なことを言った。
そういう流れで、昆太のミッションは、校長が敵であることを証明することになってしまった。
校門から入った場所であるが、生徒の姿はなぜか一切見えない。
「よし。校長に敵認定させる状況設定はこれだよな。」
昆太はどこからともなく、机、2つの椅子に、スタンドライトを用意した。
サングラスをかけた昆太は、外見箱子の校長を座らせて、ライトを浴びせる。
「オラオラオラオラオラオラ!」
昆太はスタンド使い(タダの機械操作)に進化していた。
「これは脅しだぞ。吐けよ、貴様は敵だろ。オラオラオラオラ!」
「自白強要だよん。でもタダの脅しには興味ないよん。屈するなんて夢にすら見ないよん。」
「ふふふ。やはりそう来たか。俺の読み通りだな。ならばこうだ。一度これをやりたかったんだ。ほれ、カツ丼一丁、おあがりよ。」
はちまきに紺色のTシャツ、加えて前掛けもつけてあり、背中では、『ゆきひらりん』と書かれた文字とロリキャラが踊っている。
「うまい、ほくほく。肉が柔らかくてジューシー。噛むたびにジュワーと肉汁が舌に絡んでくるよん。」
カツ丼は、本来のあるべき姿の食べられるという役割だけを終えた。しかし、昆太はめげていない。
「カツ丼じゃ、安すぎたかな。焼き肉はどうだ。」
作品名:不老不死ロリの国 第五部分 作家名:木mori