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依塚真紀奈考察余話 隠された守護者

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「もともとは浅草寺の境内に家康公を祀(まつ)った東照宮(とうしょうぐう)があったんだよね。その東照宮の南東に二天門を創建したんだ」
「東照宮って日光にもあるでしょ?」
「今はね。でも浅草寺に東照宮があった時は日光の方は東照社(とうしょうしゃ)と呼んでいたんだ」
「浅草寺に東照宮があった時っていうと、その後なくなったの?」
「うん、1642年に火災で焼失してしまって、それ以降は再建されていないんだ。それ以降は日光の方を東照宮と言うようになったんだよ」
「1642年っていうと寛永19年ね」
 やっと真紀奈の知識を披露することができた。西暦の元号換算はお手の物だ。
 真紀奈の少し得意げな心情を無視するかのように円城寺は話を続けた。
「話を戻すと、四脚門で国宝に指定されているのが、京都の豊国神社(ほうこくじんじゃ)の唐門(からもん)と長崎は崇福寺(そうふくじ)の第一峰門(だいいっぽうもん)の二つだけ」
「随分詳しいのね」
「そうそう、豊国神社の唐門は元は伏見城にあったのを二条城に移され、そこから南禅寺(なんぜんじ)の金地院(こんちいん)を経て豊国神社に譲られたんものなんだ。四脚門も波瀾万丈だよね」
「円城寺君の家ってお寺さん?」
「豊国神社と崇福寺、どちらも西暦1600年前後の創建なんだけど……」
 再び真紀奈の質問は無視されたが、気を取り直して話を接いだ。
「元号は慶長(けいちょう)から元和(げんな)のころね」
「そう、でもこの淨山寺は山門も含めて創建が貞観(じょうがん)の二年」
「え~~~! 西暦でいうと860年? めちゃめちゃ古いじゃないの。なんで国宝じゃないの?」
「文久二年に火災で燃えてしまったんだよ。この淨山寺全部がね。その後再建されて今に至っているみたいだね」
「文久二年って1862年よね。もったいない」
 真紀奈のもっともな感想をまたもや無視して円城寺は言った。
「僕はその火災の原因を調べるために来たんだ」
「えっ!?」
「さあ、山門をくぐろう。淨山寺の秘密を探ろうじゃないか」