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ブライアン編

　グレイ家の次男ブライアンは不吉な様子を描いた壁画と、ガイコツの散らばった不気味な大祭壇をさらっと見ながら、黙って神殿内を進んでいった。

　やがて彼は通路が三つに分かれた場所に差しかかり、左の道を選んだ。神殿内は青臭さとカビ臭さが混ざったような、不快すぎるにおいが充満している。居心地がいいと感じる者は誰一人いないだろう。

　さらに奥へ進んでいく途中、ブライアンは、入り口付近の大祭壇の前のガイコツのように散らばった大量のガイコツを目にした。しかし、彼はそれに何の恐れも見せなかった。
（侵入者に対する警告か何かか？）
　そう思いながら歩く彼の足が、ドクロが描かれた床の部分に触れた。すると、そのドクロの部分は、ボタンを押したときのようにへこんだ。すると、驚いたことにガイコツの体のパーツが元どおりにくっつき、何体ものガイコツがよろめきながらこちらに迫ってきた。
「…！！」
　ブライアンは松明を脇に置いて不気味な兵士たちをひとにらみすると、水の斬撃を四方に飛ばして彼らを一人残らず戦闘不能にし、自分が来る前と同じ状態にした。

　奇跡的に自分の技が当たらなかった松明を再び持ち、右に曲がって少し進むと、両側の壁には、おちょぼ口をした顔のレリーフが５対あった。ブライアンは普通に歩いていると、突然、何かが彼の目の前をビュッと飛んでいった。彼は用心深さを倍にした。彼が殺気を感じるやいなや、彼の右方向からまた何かが飛んできた。彼は自分に当たりそうになった物体を見事にキャッチした。見ると、その物体は矢であった。それも、先端に何か液体のようなものが塗られている…。ほどなく、レリーフのおちょぼ口から次々に矢が放たれた。ブライアンは、矢が当たらないようにうまくよけながら先に進んだ。

　彼がふと後ろを見ると、さっき自分がいたところに、黒い目出し頭巾をかぶり、黒いタンクトップを着て、灰色のスウェットのようなズボンを履いた、１人の大柄な男がいた。エクスキューショナー（死刑執行人）だ。
「何だあいつ…」
　そう言ったブライアンの姿を見ると、男は標的のいる方向へ走り出した。
「…！こっちに来る！」

　実はエクスキューショナーたちは、体力面では常人をはるかに上回るが、頭脳においてはその逆なのである。何も考えずに突っ走ったため、もろに吹き矢攻撃を受け、その場で倒れてしまった。
「バカか、あいつ…」
　グレイ家の次男は、エクスキューショナーの有様を見て呆れた。

　彼は軽くため息をつくと、再び先に進んだ。しばらく行くと、たくさんのガイコツが転がっている場所に出た。どうやら、最初に来たエリアにつながっていたようだ。彼は来た道を引き返した。その直後、分かれ道に差し掛かった。
（よし、左に行こう）
　彼は左に曲がった。