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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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グレイ家の兄弟 THE MOVIE 「暴走中」

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アメリ編


 アメリは松明を手に、壁画を興味深そうに見た。さらにその下に書かれた古代文字らしき文章にも目をやった。そんな彼女の横を、ガイコツを見て怯えたロジャーがダッシュしていった。

 壁を照らしながらしばらく進むと、道が三つに分かれていた。彼女は真ん中の道を選んだ。しばらく進んでも、おかしなことは何も起きなかった。しかし、彼女は自分たちの身に危険が及んでいる予感がしていた。歩いている途中で、アメリはロジャーに会った。誰かがふっと姿を現したので、グレイ家の三男は大声を上げた。
「うお〜〜〜!」
 しかし、よく見ると目の前にいるのはアメリだった。
「あ、ロジャー」
 ロジャーは、まだ僅かに声を震わせながら言った。
「あ、何だアメリか。びっくりした」
 彼女は不安に満ちた顔で言った。
「ねえロジャー、私たち、もしかすると何者かに追われているんじゃないかと思うんでス」
 彼は答えた。
「おいおい、陰気なシナリオの話かよ」
「いいえ、シナリオの話じゃないでス。不吉な予感がするんでス」
「でも、ここには俺たち以外誰も来てねぇ…」
「本当にそうでスか?」
 アメリに言われて、ロジャーは答えに困った。アメリは淡々と話を続けた。
「とにかく、ここにずっといるのは危険でス。別々に行くのでス」
 ロジャーは彼女の言葉に納得がいかなかったが、ずっとここに居るのもまずいと感じ、アメリとは違う道を進んだ。


 アメリは、壁の四角いくぼみに置かれているドクロを松明で照らした。美的センスを刺激されたのか、それとも知的好奇心を刺激されたのか、彼女はそれを手に取って、じっと見た。骨というものは、不気味ではあるがどこか夢を抱かせてくれる。アメリは、なぜかドクロの上の部分を二度ほど軽くたたいた。そのドクロを元の場所に置くと、ドクロの下で何かがカチッと鳴った。すると突然、天井がガタンという音とともに3メートルほど開くと、そこから1本の槍が落ちてきた。アメリはとっさによけた。
「まさか…」
 すると、再び天井の開く音がして、1本の槍が落ちてきた。アメリはまたもよけ、軽快なフットワークで走った。天井から、次々と槍が降ってきた。100メートルほど走ると、もう槍は降ってこなかった。彼女は2度呼吸をすると、恐る恐る後ろを振り向いた。そこには、10本前後の槍が地面に突き刺さっていた。
「危険は、追っ手だけじゃなさそうでスね」
 彼女は独り言を漏らした。