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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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グレイ家の兄弟 THE MOVIE 「暴走中」

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ロジャー編


 グレイ家の三男ロジャーもヒラリーと同様、入口を通ってすぐのところにある、吹き抜けのほうを見た。そこには、大きくて太い2本の松明に挟まれ、巨大な祭壇が立っている。その下方に転がっている大量の人骨を目にして、ロジャーは思わず叫び、一目散に走っていった。

 走っていくと、道が三つに分かれている。ロジャーは迷わず真ん中の道を進んだ。しばらく歩いても、何の危機も起きなかった。

 すると、誰かがふっと姿を現したので、グレイ家の三男は大声を上げた。
「うお〜〜〜!」
 しかし、よく見ると目の前にいるのはアメリだった。
「あ、ロジャー」
 ロジャーは、まだ僅かに声を震わせながら言った。
「あ、何だアメリか。びっくりした」
 彼女は不安に満ちた顔で言った。
「ねえロジャー、私たち、もしかすると何者かに追われているんじゃないかと思うんでス」
 彼は答えた。
「おいおい、陰気なシナリオの話かよ」
「いいえ、シナリオの話じゃないでス。不吉な予感がするんでス」
「でも、ここには俺たち以外誰も来てねぇ…」
「本当にそうでスか?」
 アメリに言われて、ロジャーは答えに困った。アメリは淡々と話を続けた。
「とにかく、ここにずっといるのは危険でス。別々に行くのでス」
 ロジャーは彼女の言葉に納得がいかなかったが、ずっとここに居るのもまずいと感じ、アメリとは違う道を進んだ。