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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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グレイ家の兄弟 THE MOVIE 「暴走中」

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ジョン編


 フレディが謎の神殿風の建物の中に消えて、ほかの者たちはちょうど5本あった松明を手に、手分けして彼を探すことにした。

 グレイ家の四男ジョンは、松明で壁を照らした。そこには6、7人の人間が走り回る場面、その隣にはそれらが絞首刑にされている場面、さらにその隣には彼らの遺骸が山積みにされている場面の壁画が描かれていた。彼は腰に両手を当ててふっと息をつくと、
「何これ、キモくないか?」
 とつぶやき、そのまま進んでいった。

 神殿内は青臭さとカビ臭さが混ざったような、不快すぎるにおいが充満している。居心地がいいと感じる者は誰一人いないだろう。さらに奥へ進んでいく途中、ジョンは床にドクロが描かれた部分を踏んだ。すると、そのドクロの部分は、ボタンを押したときのようにへこんだ。ほどなく、どこかから壁が崩れるような音がした。
(!?)
 彼は僅かに不穏な空気を感じ取ったが、そのまま真っすぐ歩いた。

 そのとき、向こうから何やらおどろおどろしい声が聞こえた。
「ん?何か聞こえる」
 やはりそのまま進んでいくと、ジョンの目の前には何体ものガイコツがよたよたしながらこちらへ歩いてきた。
「…!!」
 彼は一瞬息をのんだが、もともと気の強い彼のことである。彼はガイコツたちを一瞥すると、両手を「X」の形にクロスさせた。その瞬間、ガイコツたちの足元の周囲数メートルが砂地獄に変わり、アリジゴクの罠のようにガイコツたちを素早く飲み込んでいった。その直後、砂地獄が消え、元の床に戻った。

 不気味な兵士たちを一人残らず地底に葬ると、ジョンは左に曲がって進んだ。左側の壁を照らすと、普通より大きめのクモやムカデ、果てはスカラベまでもがうようよと動いている。これを見た彼の顔から、一気に血の気が引いた。どうやら彼は化け物は怖くないくせに、普通の生き物は怖いようだ。すぐさま、彼は来た道を走って引き返した。もちろん、松明の火を絶やさないように十分注意しながら。

 襲い来るガイコツたちを倒した場所に来て荒い呼吸をしていると、彼は後ろに何かの気配を感じた。振り向くと、黒い目出し頭巾をかぶり、黒いタンクトップを着て、灰色のスウェットのようなズボンを履いた、大柄な男が2人立っていた。
「何だおまえたち。おまえたちも、仲間とはぐれたのか」
 1人は、黙ったままジョンに近寄った。すると突然、彼の片手を乱暴に持つと、重そうな鉄の手錠の片方をはめ、もう片方の手にも同じことをした。
「あっ、おい、何すんだよ!離せ!」
 時既に遅し。もう1人がすかさずジョンに黒い布で目隠しをすると、彼に手錠をしたほうの男が彼の右腕の袖を強くつかみ、もう1人が後ろから獲物のシャツをつかんで歩いていった。

 不気味な2人の男は、より一層カビ臭い地下の一室に着くと、目隠しをされたジョンを絞首台に登らせ、彼の首に縄を結んだ。彼は、自由の利く口で必死に抵抗した。
「おまえらいったい何者だ!何する気だ!!」
 彼らは相変わらず黙っていた。


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