グレイ家の兄弟 THE MOVIE 「暴走中」
フレディはそのエリアを去り、しばらく通路を歩いていたが、何の危険も感じられなかった。
「もう何も起こらねえみてぇだな。ここでまた休むか」
そう言って壁に寄り掛かったときだった。彼が背中を当てた部分が、ぐいーとへこんだ。
「ん、何だ?」
それから約10秒間何も起こらなかったが、突然、奥のほうから地鳴りのような音がした。フレディが後ろを向くと、何と人面岩がすごいスピードでこちらに来るではないか!彼は必死で走った。
「何だこりゃあ〜!来るな、来るな、岩〜」
少しでも立ち止まれば、たちまち人面岩に押し潰されてしまうだろう。
しかし、大胆なフレディはあることを思い付いた。人面岩のほうを向いてジャンプし、その上に乗っかったのだ。フレディは、後ろ向きの玉乗りを繰り広げた。
「わ、わ、わ、わ、わ」
それでも彼は素早く向きを変え、見事な(?)玉乗りをした。
「わあ、すげえ、すげえ」
200メートルほど進むと、前下のほうに何やら緑色のものが見えた。
「あ、何か緑のものが見える〜!」
しかし、その先は崖だった。
「わ、落ちる、やべえ〜!」
彼が人面岩から下りた直後、彼を乗せていた人面岩はすごい速度で崖下に落ちていった。
崖下を見ていたフレディは荒めの呼吸をしながら言った。
「はあ〜、危ねえとこだったぁ〜!!怖そうだな、あの池」
そう、崖下にあったのは、強酸の池だったのだ。フレディは、来た道を急いで引き返した。
作品名:グレイ家の兄弟 THE MOVIE 「暴走中」 作家名:藍城 舞美