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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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グレイ家の兄弟 THE MOVIE 「暴走中」

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 周りを見ながら歩いていると、左右にも道のある場所に差し掛かった。彼は右の道を選んだ。真っすぐ歩くと、地面の上に長細い枠があった。さらにその隣には、アルファベットが1文字ずつ刻まれた石板と、「L」の字が刻まれた石板がもう1枚あった。そのパズルらしき石板の前の壁には手形が彫られており、その上部には口を開けて笑うドクロの絵が刻まれていた。
「何だこれ。パズルか?」
 あまり知恵の働かないフレディは、何が何だかわからなくなった。
「何なんだこれ!?またあの黒い頭巾が来たらやべえな」
 彼はすっかり焦っていた。

 そのときだった。彼の目に、ドクロの絵が映った。誇らしげに笑うドクロの絵は、フレディに何かヒントを与えたように見えた。
「お、そうか!」
 フレディの手が動いた。彼はもう1枚あった「L」の石板も使って、枠の中に「JOLLY」と並べ、手形に自分の手を合わせた。すると、目の前の壁がシャッターのように上方へ開くと、下へと続く階段が現れた。
「うおぉ、こんなすげえ仕掛けがあったのか!」
 フレディはすぐに階段を下りていった。階段を下りきって左に曲がると、5人が乗った絞首台が見えた。
「おー!みんな!こんなところにいたのか〜!!」
 ロジャーが長兄に気付いた。
「その声は…」
 ヒラリーも続けた。
「やっぱり…!」
「フレディ兄さん!!!」
「フレディ!!」

 絞首台の床を落とすレバーを握っていたエクスキューショナーがフレディを捕らえようとしたが、フレディは拳に炎をまとわせ、エクスキューショナーに右手でフック、左手でアッパー、さらに右手で強烈なストレートをお見舞いした。彼はパンチコンボに倒れたエクスキューショナーの腹部に、とどめとばかりにドロップキックを浴びせた。エクスキューショナーは、完全に動かなくなった。
「っしゃあ!今助けるぞ〜!」

 フレディは、最初に一人一人の目隠しを外した。全員、お互いの顔を確認した。特にアメリは、ブライアンと目が合うや、首を傾けてほほ笑みを浮かべた。
「フレディ兄さん、今度は俺たちのロープを解いてくれ〜〜!」
 ロジャーが叫んだ。
「よし、分かった!って、どーやって解きゃいいんだ?」
 そのとき、ジョンの目に、壁に刺さっている一本の剣が見えた。
「ねえフレディ兄さん、あそこに剣が刺さってる!あれを使えばいいんじゃね?ただ、抜くとき刃を折るなよ!」
「よっしゃっ!」
 フレディは壁から見事に剣を抜いた。その剣は素晴らしい切れ味で、弟たちと友人たちの首を縛っているロープを次々に切ることができた。全員、大いに喜んだ。ただ、フレディは切るところを間違えたのか、5人の首にはロープが残っていた。
「悪ィなみんな、あとは自分でほどいてくれ!」
「ぅおい!!」
 弟たちが叫んだあと、ロジャーがフレディに話しかけた。
「でもなぁ、問題はこの手錠だ。こいつが取れなきゃ話にならねぇ」
 アメリが思い出したように言った。
「みんな、聞くのでス」
 ジョンが大きめの声で言った。
「みんな静かに!今からアメリが大事なこと話すよ!」
「この黒頭巾の男が倒れるとき、私には何か金属音が聞こえたのでス。恐らく、この男のズボンのポケットに手錠の鍵があるはずでス。フレディ、その中を探ってみるでス」
「よし、分かった」

 アメリの予想どおり、エクスキューショナーのズボンのポケットの中には、手錠の鍵がちょうど六つ入っていた。
「何か鍵みたいなのが入ってた!」
「きっとそれだ!さすがはアメリ」
 ジョンはアメリをほめた。
「ん?何か数字が書いてあるぞ」
 ロジャーが言った。
「もしやそれ、手錠のナンバーで、それと同じナンバーが書かれた鍵でなきゃ開かねえとか…」
 ブライアンが寒々しく言った。
「どこかのコミックかよ」

 フレディは仲間たちに質問した。
「おまえら、ナンバーはいくつだ?」
 ロジャー、ジョン、ヒラリーが自分の手錠のナンバーを一斉に言った。すると、ブライアンが突っ込んだ。
「一斉に言うな!フレディの耳は三つも付いちゃいない。まずは俺から言おう。『2』だ」
 フレディは、「2」と書かれた鍵を持ってブライアンを呼び、彼を解放した。
「よし、サンキュー!俺も手伝うぜ。ロジャー、おまえのナンバーは?」
「俺のは…『3』だ!」
 ブライアンは「3」と書かれた鍵を見つけ、ロジャーの元に行き、彼の手錠を外した。
「やった、自由だー!サンキュー、ブライアン兄さん!」
 ロジャーは何度もジャンプをして解放の喜びをかみしめた。そんな彼に、次兄が厳しい言葉をかけた。
「騒いでる暇があったら、解放すんの手伝えよ」

 というわけで、ロジャーが弟に言った。
「ジョン、おまえのナンバーは?」
「えっと、『4』だ」
 ブライアンが4番の鍵を見つけ、ロジャーに渡した。
「4番、あったぞ」
「よし!解放するぞ、ジョン!」
 ロジャーによってジョンが解放されると、ジョンはロジャーに向かって満面の笑みでうなずいた。ロジャーはすぐにアメリに尋ねた。
「アメリ、ナンバーはいくつだ?」
「私は…5番でス」
「5番だな。分かった!」
 ロジャーはすぐに5番の鍵を見つけ、アメリを解放した。彼女はロジャーをハグした。
「ありがとうでス、ロジャー」
 彼は顔を真っ赤にして言った。
「い、いや、俺は友達として当たり前のことをしただけだい。ほめるなよぉ〜」
 フレディが大きな声で言った。
「最後はヒラリーだ!ナンバーを教えてくれ」
「待って。私のは『6』、『6』よ」
 ロジャーが長兄に6番の鍵を渡すと、彼はヒラリーを解放した。
「やったあ!!ありがとう、フレディ〜〜!」

 こうして、G4とアメリ、ヒラリーの計6人は解放された。G4は喜の円陣を組んだ。レディーズは、ほほ笑みながら彼らを見つめていた。そんな彼女たちに、ロジャーが声をかけた。
「お〜い、アメリとヒラリーも来いよ!」
 アメリとヒラリーはうなずくと、G4とともに円陣を組んだ。

 やがてみんなが動きを止めると、フレディが言った。
「よし、みんなでここを脱出だ!!」
「うおおう!!」


                          ― 逃走者、全員解放。再び逃走 ―