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第八章 交響曲の旋律と

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〈第七章あらすじ&登場人物紹介〉



===第七章 あらすじ===

 メイシアとハオリュウの父、藤咲コウレンを救出すべく、ルイフォンとリュイセンは斑目一族の別荘に潜入した。
 厨房から入った直後、タオロンの娘ファンルゥに見つかってしまうが、見回りのふりをして事なきを得る。ファンルゥは「地下にいる〈天使〉を見せたい」と言うが、ルイフォンたちは振り切るようにして、その場を立ち去った。

 同時刻、鷹刀一族の屋敷では、捕虜にした男たちから情報を引き出すため、薬物の扱いに長けたミンウェイが自白剤の投与を試みていた。また、捕虜のうちのひとりが親しかった先輩であるため、緋扇シュアンも同席していた。
 驚くべきことに、捕虜たちは〈蝿(ムスカ)〉の記憶を書き込まれ、〈影〉とされた者たちだった。先輩は元には戻らないと悟ったシュアンは、自らの手で敬愛する先輩を射殺する。

 一方、斑目一族の別荘では、ルイフォンたちは無事にコウレンと会うことができたものの、怯えられてしまう。説得を試みるルイフォンだったが、その途中でタオロンが近づいてくる気配を感じ、やむを得ずリュイセンがコウレンを気絶させた。
 侵入者であるルイフォンたちに襲いかかるタオロン――と思ったら、タオロンの狙いはルイフォンたちではなく、コウレンだった。しかも、凶賊(ダリジィン)にはご法度の銃まで持ち出して、タオロンはコウレンの命を狙う。
 心情的にはルイフォンたちに近いタオロンが何故、と思いながらも、リュイセンがタオロンを倒す。気絶したままのコウレンを連れて脱出の途についた。

 屋敷では、ルイフォンを心配するメイシアを、異母弟ハオリュウが訪ねていた。彼は、メイシアのルイフォンへの身分違いの想いを諦めるよう、釘を刺しにきたのだった。
 けれど、ふたりの想いが固いことを知り、それならばと「家事もできない姉様では今は無理」と、仲を認めつつも、ささやかな嫌がらせをする作戦に変更した。
 会話の途中で、メイシアがいつも身に着けているペンダントを、ハオリュウは見たことがないと言う。
 また、斑目一族と決別したと思われている厳月家だが、まだ事件に関わっているのではないかとメイシアは考え、不安に思っていた。

 ルイフォンたちは、潜入してきたときと同じく厨房から脱出しようと思っていた。しかし、そこではファンルゥが待っていた。しかも、彼女ひとりではなく、〈七つの大罪〉の〈悪魔〉、〈蛇(サーペンス)〉であるホンシュアも一緒だった。
 初対面のはずのホンシュアだが、ルイフォンとリュイセンを知っており、ルイフォンに「逢いたかった」と言う。彼女は理由も告げずにルイフォンに謝罪の言葉を繰り返し、「メイシアを選んだ」「私が仕組んだ」などと謎めいたことを言う。
 ホンシュアが「ライシェン」という名前を口にした瞬間、ルイフォンの脳裏にメイシアのペンダントの記憶が描き出され、激しい頭痛に見舞われた。その様子を見たホンシュアが「駄目」と叫び、彼女の背中から光の羽としか言いようもないものが出現した。
 それは〈天使〉の羽なのだと、ファンルゥが解説する。羽の光に包まれると、ルイフォンの頭痛は収まった。しかし、そこに〈蝿(ムスカ)〉が現れた。

〈蝿(ムスカ)〉と対戦することになるとリュイセンは身構えたが、〈蝿(ムスカ)〉はホンシュアと口論を始めた。ふたりの会話から、記憶介入は〈天使〉のホンシュアのみが出来ることであり、〈蝿(ムスカ)〉はそれを利用していること。ホンシュアが『デヴァイン・シンフォニア計画(プログラム)』というもののために、〈蝿(ムスカ)〉の保つ技術を必要としていること、が分かる。
 ホンシュアは、熱暴走といわれる高熱の状態に陥っており、〈蝿(ムスカ)〉は冷却剤を置いて立ち去ろうとする。そこをルイフォンが、「何故、俺たちを無視する」とひきとめると、〈蝿(ムスカ)〉は「興味があるのはイーレオだけ。貴族(シャトーア)はどうでもいい」と答える。ルイフォンが不意打ちで〈蝿(ムスカ)〉のサングラスを弾き飛ばすと、そこに表れた顔は、どう見ても鷹刀一族のものだった。
 ルイフォンたちが脱出する間際、ホンシュアはコウレンに「巻き込んでしまって、ごめんなさい」とひざまずき、彼を光で包んだ。

 無事、鷹刀一族の屋敷に戻り、ルイフォンはメイシアと再会した。これから彼女と一緒に居るために、明日になったらきっちりコウレンやイーレオに挨拶すると約束する。
 幸せいっぱいのふたり。だが、厳月家が不穏な動きを見せているとの知らせを、娼館の女主人シャオリエが持ってきたのだった。


===登場人物===

[鷹刀一族]
 凶賊(ダリジィン)と呼ばれる、大華王国マフィアの一族。
 実は、秘密組織〈七つの大罪〉の介入により、近親婚によって作られた「強く美しい」一族。

鷹刀ルイフォン
 凶賊(ダリジィン)鷹刀一族総帥、鷹刀イーレオの末子。十六歳。
 母から、〈猫(フェレース)〉というクラッカーの通称を継いでいる。
 端正な顔立ちであるのだが、表情のせいでそうは見えない。
 長髪を後ろで一本に編み、毛先を金の鈴と青い飾り紐で留めている。

※「ハッカー」という用語は、「コンピュータ技術に精通した人」の意味であり、悪い意味を持たない。むしろ、尊称として使われていた。
 「クラッカー」には悪意を持って他人のコンピュータを攻撃する者を指す。
 よって、本作品では、〈猫(フェレース)〉を「クラッカー」と表記する。

鷹刀イーレオ
 凶賊(ダリジィン)鷹刀一族の総帥。六十五歳。
 若作りで洒落者。

鷹刀ミンウェイ
 イーレオの孫娘にして、ルイフォンの年上の『姪』。二十代半ばに見える。
 鷹刀一族の屋敷を切り盛りしている。
 緩やかに波打つ長い髪と、豊満な肉体を持つ絶世の美女。ただし、本来は直毛。
 薬草と毒草のエキスパート。医師免状も持っている。
 かつて〈ベラドンナ〉という名の毒使いの暗殺者として暗躍していた。
 父親ヘイシャオ=〈蝿(ムスカ)〉? に溺愛という名の虐待を受けていた。

鷹刀エルファン
 イーレオの長子。次期総帥。ルイフォンとは親子ほど歳の離れた異母兄弟。
 感情を表に出すことが少ない。冷静、冷酷。

鷹刀リュイセン
 エルファンの次男。イーレオの孫。ルイフォンの年上の『甥』。十九歳。
 文句も多いが、やるときはやる男。
『神速の双刀使い』と呼ばれている。
 長男の兄が一族を抜けたため、エルファンの次の総帥になる予定である。

草薙チャオラウ
 イーレオの護衛にして、ルイフォンの武術師範。
 無精髭を弄ぶ癖がある。

料理長
 鷹刀一族の屋敷の料理長。
 恰幅の良い初老の男。人柄が体格に出ている。

キリファ
 ルイフォンの母。四年前に謎の集団に首を落とされて死亡。
 天才クラッカー〈猫(フェレース)〉。
 右足首から下を失っており、歩行は困難だった。
 かつて〈七つの大罪〉に属していたらしい。
 鷹刀一族の屋敷に謎の人工知能〈ベロ〉を遺していた。
 もとエルファンの愛人。エルファンとの間に一女あり。

〈ケル〉〈ベロ〉〈スー〉
 ルイフォンの母が作った三台の兄弟コンピュータ。
 ただし、〈スー〉は、まだできていないらしい。
作品名:第八章 交響曲の旋律と 作家名:NaN