オヤジ達の白球 36~40話
オヤジ達の白球(37)不正投球
ドスンと音を立てて寅吉のミットへ、坂上の3球目が収まった。
「ストライク~、スリ~。バッタ~、アウト!」
甲高いコールが球場内へ鳴り響く。
(3球でワンアウトをとったぜ。
ラッキーだ。なんとも順調すぎる滑り出しだな)
寅吉が手にしたボールを投げ返そうとする。
その瞬間。「貸して」と背後から千佳の手が伸びてきた。
ボールを受け取った千佳が、スタスタとマウンドへ向かって歩いていく。
「はい。ボール。確認したいことが有るの。
投げなくてもいいの。
このボールを持って、投球動作を開始してくれる」
作品名:オヤジ達の白球 36~40話 作家名:落合順平