小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

オヤジ達の白球 36~40話

INDEX|13ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 


 「バットを振らずに押し出しの先制点か。いいじゃないか、そういう展開も」

 「いいんですか、そんなことで。呑気なことを言わないでください先輩。
 このままじゃ、試合になりません」

 「あいつの足の踏みかたを元に戻せば、さっきまでの球がよみがえる。
 だがそれじゃ、違反投球になる。
 辛抱のしどころだ。長い目で見れば結果的に、あいつのためになる」

 「しかし。このままじゃ何時まで経っても、ストライクはきませんよ」

 「心配しなくてもいいさ。2点でも3点でも好きなだけくれてやる。
 見ろよ。ウチのベンチに動く気配はまったくない。
 ということはあいつが立ち直るのを、辛抱強く待つつもりだ」

 4球連続のボールがつづく。
球審が「四球です。バッターは1塁へ」とうながす。
3塁から走者が生還してくる。
つづいて打席へ入った6番打者も同じように、1度もバットを振らない。
振りたくてもストライクゾーンへ、ボールがやってこないからだ。
力のない球がストライクゾーンをはるかに外れる。
四球続けてぽとりと地面へ落ちる。
2点目の走者が3塁から戻って来る。

 7番バッターも、おなじく四球を選ぶ。
3塁からゆっくりとした足取りで、3点目の走者が帰って来る。
8番バッターが打席へ入る。
(ベンチはまだ坂上を投げさせるつもりなのかな?)
寅吉が自軍のベンチを振りかえる。

 陽子がスコアブックへ、屈辱の3点目をかき込んでいる。

 (機嫌悪そうだな、姐ごは。
 そりゃそうだ。連続の四球で敵につぎつぎ点を献上してんだ。
 笑顔でスコアをつけている場合じゃない。
 こんな状態がつづいているというのに、ウチの監督ときたら
 まったく動きそうもないな・・・)