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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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グレイ家の兄弟 First Battle

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 ― ドクター・フリックの研究所にて ―

 グレイ家の四兄弟は、ドクター・フリックと対面していた。
「ねえドクター・フリック、何ちゃらウエーブの効果を消せる方法を見つけたの?」
 すると、ドクター・フリックが首を横に振った。
「いいや、違うだす。今日はニートたちに話すべきことが幾つかあるだす」
 そう言うと、彼はおもむろに巨大スクリーンのスイッチをオンにした。
 すると、人間のように二本足で立ち、大きな口を開けて目をぎらぎらさせている、いかにも「人狼」という表現がふさわしい怪物が何体か映った。それを見て、グレイ四兄弟は顔が固まった。一方、ドクター・フリックが説明を始めた。
「古代の戦闘部族・ガルー族がウッディヘンジ遺跡発掘によって、封印から解かれただす」
「!!!?そんな、映画みたいな話…」
 フレディは、信じられないといった感じで言った。
「やつらは次の族長になるために、いかに多くの人間を殺せるかを競うゲームをする文化を持っているだす」
 ドクター・フリックが説明すると、画面に映ったガルー族の後ろで血が飛び散るようなエフェクトがなされた。
「うわ、何かヤバいな、そいつら」
 ロジャーが、嫌そうな顔で言った。
「そう、人類にとって脅威と言うべきやつらだす」
「そんな生まれながらのシリアルキラーなやつらなのに、何で警察や軍は対応しないんだ」
 ブライアンが尋ねた。
「ふ〜む、やつらは人間と同じ程度の知能を持っているから、恐らく警察の目をかいくぐって殺人ゲームをしてるんだすな」
 ドクター・フリックが自信なさげに答えると、四男のジョンが言った。
「まさかとは思うけど、昨日と今日にわたって起こってる怖い事件も、やつらのしわざなんですか」
「ほえ、そう考えるのが自然だすな」
 四兄弟は、お互いの顔を見て眉間にしわを寄せた。

 「そこでだす。チミたち四兄弟に、ガルーを倒してほしいだす」
「「「「へっ!!??」」」」
 予想外の依頼に、兄弟全員が不満そうに叫んだ。
「普通に暮らしてる俺たちに、そんな危険な古代部族と戦えるほどの力なんか…」
 フレディが辞退しようとすると、アメリが割って入るように言い出した。
「エレメンタルウエーブの力で戦うのでス」
「あ、その手があった!」
 ロジャーが、納得したようにトンと手をたたいた。即座に、ドクター・フリックが言い出した。
「ほえほえ、チミたちはエレメンタルウエーブによって常人離れしたパワーを持ったのだす。それを使えば、ガルーとも互角に戦えるだす」
「なるほど。俺たちニートでも、人様の役に立ちそうだ」
 ブライアンがうなずきながら言うと、小さく笑った。その左腕を巻くように、らせん状の水が現れた。
「自分より強そうなやつとガチるの、ワクワクするな〜♪」
 ロジャーが軽く拳を握ると、彼の拳が電気に覆われた。
「人間なめんな」
 ジョンが静かに言うと、その右手から砂が現れて、床に落ちた。
「負ける気がしない」
 フレディが自信たっぷりに言うと、その手のひらから卵サイズの炎を出現させた。

 そのとき、外から複数の人の悲鳴が聞こえた。四兄弟は一斉に窓のほうを向いた。窓の外では、何人かが頭を抱えながら右方向へ走っている。
「何だ…?」
 フレディが顔をしかめた。
「ほえほえ〜、きっとガルー族が現れたんだす。兄弟たち、出動だす!!」
「っしゃ!!!!」
 ドクター・フリックが出撃指令を出すと、グレイ四兄弟は、駆け足で研究所を出た。
「皆さ〜ん、頑張るのでス〜!」
 アメリは大きく手を振ってニートたちを見送った。