小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

グレイ家の兄弟 First Battle

INDEX|1ページ/4ページ|

次のページ
 

 ― イギリス・ソルシティの一角で ―

 グレイ家のニート兄弟たちが「エレメンタルウエーブ」を浴びてから数日後、彼らは朝から自室でうだうだしていた。長男フレディ(28)は寝っ転がって空想にふけり、次男ブライアン(27)は手鏡を見ながらヘアスタイルを整えており、三男ロジャー(25)はスマホをいじっており、四男ジョン(23)は好きなアイドルの記事を見ている。

 「ん?何だこれ」
 スマホでネットニュースを見ていたロジャーが、「記事の詳細」と書かれた部分をタップした。その記事によると、昨日、ソルシティからそれほど遠くないとある農場で作業中だった男性が何者かに殺され、そののど元には動物にかまれたような跡があり、胸と背中には激しく引っかかれた傷が幾つもあった。そのうえ現場には、藁の山が崩されたのか、大量の藁が地面に散らばっていたことも分かった。
「えっ…何か怖いしヤバいよ、この事件」
 ロジャーのつぶやきが聞こえたのか、長兄が彼に話しかけた。
「えっ、何が」
「あ、フレディ兄さん。スマホの、この記事見てよ」
 ロジャーがフレディにそのニュースの記事を見せた。
「ん?何々…うわあ、こんなヤバい事件が起こったのかよ。この町に結構近いじゃん」
 フレディは、しばらく目を見開いたまま、動きが止まった。

 それから少しして、ロジャーのスマホに「BREAKING NEWS」を知らせる音が流れた。
「あ、ブレーキングニュースだ」
 彼がすぐにニュース画面を開くと、「木造の家 無残に破壊される」という見出しが書かれていた。これを見た長男と三男は絶句した。記事を詳しく読むと、ソルシティの隣町フォーレシティにある1軒の木造の家が跡形もなく破壊され、そこの住民二人の遺体が発見されたという話だった。そのうえ、犠牲になった住民たちの腕や背中には激しく引っかかれた傷が何本かあったということも書かれていた。
「何か、さっき見た農場の事件に似てる気がするな」
「それ、俺も同じこと思ってた」
 フレディとロジャーは、視線を合わせた。
「あと、事件現場がだんだんこの街に近付いてきてる」
 ジョンがさらりと言うと、ブライアンがため息をついて目線を下に落とした。

 それから少しして、家のドアホンが鳴った。兄弟たちは互いの顔を見たが、長男のフレディが代表して応対に出ることに決めた。
「は〜い、ただいま」
 彼が1階に降りてドアを開けると、ドクター・フリックの助手で、グレイ四兄弟の幼なじみであるアメリ・ウェンが立っていた。
「あ、やあアメリ」
「ハイ、フレディ。突然来てごめんなのでス。弟くんたちも呼んでくれまス?」
「え、いや、いいけど何で?」
「話はあとでス」
 フレディはアメリに言われたとおり、弟たちを連れて玄関に来た。
「で?話って何かな」
「あのね、ドクター・フリックに、『グレイ家のニート兄弟を連れてこい』って言われたのでス。だからみんな、ドクター・フリックの研究所に来てほしいのでス」
(もしかすると、何ちゃらウエーブの解除法ができたのかな)
 目的地に向かう間、フレディはそんな淡い期待を抱いていた。