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オヤジ達の白球 31~35話

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 祐介のあとから入って来た陽子が、寅吉へ声をかける。

 「そうだな。孫みたいな連中を相手にするんだ。
 適当に手を抜けと団長に言っておこう。
 そういえば、今日先発するはずの坂上のやつはどうした?。
 まだ顔が見えないが?」

 
 「まだ来てないのか、やっこさん。
 あいつなら午後の1時に家を出たそうだ。
 ということはまだ例のあの場所で、投球練習をしているのかな?」

 球場へはいってきた岡本が、寅吉に向かって大きな声でこたえる。

 「例のあの場所?。なんだ。それは?」

 「河川敷にある、テニスの壁打ち用のコンクリート壁のことさ。
 坂上の奴。緊張してんだろう。
 きっといまごろはまだ、汗だくになって、壁にボールを投げているんだろう」

 「午後1時からいままで、壁を相手に投球練習をしているってか?。
 あの野郎は。
 何を考えているんだ、いったい、あの単細胞は!」

 「そういう男だ、坂上は。
 放っておけばそのうち、汗だくになって顔を出すだろう。
 そういうやつだ、あいつは」

 消防団員たちによってグランドの整備がすすむ中。
ドランカーズのメンバーたちも集まって来た。

 駐車場へ見慣れない車が1台、滑り込んで来た。
ドアから、男女の4人が降りてくる。
いずれもソフトボールの、公式審判員の制服を着用している。
先頭を歩いてくるのは国際審判員をめざしている、例のあの謎の美女だ。
 
 
 (34)へつづく

 
オヤジ達の白球(34)千佳を守る三銃士 
 
 「ほう。素人じゃないな。グランド整備もなかなかのもんじゃ」

 謎の女のうしろを歩いてきた初老の男が、賞賛の声をあげる。
試合で使ったあとの球場は、スパイクの跡で穴だらけになる。

 スパイクの穴の跡にだけトンボをかけて、あとをハケで表面を
なでてしまえば見栄えは綺麗になる。
しかしこれではスパイクで踏みつけた部分の土の硬さと、踏んでいない
土の部分の硬さに違いがでてしまう。

 これがイレギュラーバウンドなどの原因になる。
そのため。スパイクで掘れてしまった深さまで、レーキで土を掘り返す。
そのあとをトンボで均一にならしていく。
土のかたまりがあればそれもトンボを使い、細かくほぐしていく。