小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

オヤジ達の白球 31~35話

INDEX|8ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 


 俺も少し手伝おうと、寅吉がトンボを手にする。
T字型をした整地用具のことをトンボと呼ぶ。トンボに似ていることから
この名がついた。
あわてて団長が寅吉の手から、トンボを奪い取る。

 「大先輩自らがグランド整備するなんて、とんでもないことです。
 グランドは我々に任せてください。どうぞ先輩はベンチで
 くつろいでください。
 ベンチに、冷たいものが用意してあります」

 「おいおい。俺は敵だぜ。そこまで特別扱いしてくれなくても結構だ」

 「いえいえ。ゲームがはじまれば敵ですが、いまは我々の大先輩です。
 東京消防庁のレスキュー隊長といえば、消防のエリート中のエリートです。
 我々から見ればエベレストよりも、はるかに高い存在です。
 他に何か有れば、遠慮なく、若い者へ何でも言い付けてください!」

 ペコリと頭をさげた団長がトンボを片手に、グランドへ飛び出していく。
その様子を球場へ入って来た祐介が、呆気にとられた顔で見送る。

 「じゃ。
 ハンディとして2~3点、先に点をもらっておけばいいじゃないのさ。
 どう頑張ったって勝てない相手だよ。
 あんたが言い出せば2点や3点、かんたんにくれるんじゃないの?。
 どう。我ながら名案でしょ」