オヤジ達の白球 31~35話
「おう。誰かと思えば、Aクラスの消防チームじゃないか。
道理でグランド整備が丁寧なはずじゃ。
おまえさんたちがグランド整備をしているということは、相手はよほど目上か
さもなくば、上位のチームということになるのか?」
長老が団長へ、どういう相手だと寄っていく。
「今日の相手は、つい最近出来たばかりの、居酒屋さんのチームです」
「なんと。相手は出来たばかりの居酒屋のチームか。
それなりのメンバーがそろっておるんじゃろうな。
Aクラスで常勝のおまえさんたちに、あえて挑戦してくると言うことは」
「それがメンバーのほとんどが、ど素人ばかりと聞いております」
「なんじゃと、それでは、試合にならんじゃろう」
「大丈夫です。大きな声では言えませんが、レギュラーは出しません。
今夜は控えの選手たちで試合に臨みます」
「おう、それがよかろう。
素人を相手に、Aクラスが本気になっても仕方なかろう。
怪我人でも出したらそれこそ、あとで大変なことになるからのう」
「それにしても審判部長自ら御出陣とは、おだやかではないですねぇ」
「なんの。ワシらの千佳が審判に行くという話を聞いたでなぁ。
大会の予定がないのに何の試合じゃと聞いたら、ただの親善試合だという。
親善試合に公式審判員が行くというのは、聞いたことがない。
なんとも心配じゃ。
そこでわしら三銃士が、千佳の警護のために着いてきたという次第じゃ」
作品名:オヤジ達の白球 31~35話 作家名:落合順平