小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

オヤジ達の白球 31~35話

INDEX|5ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 


 「俺の顔をたてろと、有無を言わさず試合を決めてきたという噂だよ」

 陽子がグラスに浮いた氷を指で突きながら、祐介の背中へ語りかける。
時刻は開店前の午後の4時。
散歩帰りの陽子が、ふらりと祐介の店に顔を出した。

 「別に支障はないだろう。
 消防といえばたて組織の社会だ。
 上司からの命令はとにかく絶対服従だからな」

 「でもさぁ、正気じゃないよねぇ、まったくもって。勝てんのかい。
 相手は20歳前後の、元気盛りの若者たちだ。
 かたや脳にも体にも、障害をおこしかけている50代へ突入しはじめた
 オジサンたち。
 試合になんかならないだろうさ」

 「誰が脳と身体に障害をおこしているって?。
 ウチのチームは、ただの飲んべェどもの集まりだ」

 「脳へのダメージが積み重なり、高次の脳機能障害を起こすと
 パンチ・ドランカー。
 料理をしながら酒を飲み、アルコール依存症になると、
 キッチン・ドリンカー。
 同じことだろう。
 なんてたってチームの名前が、そのものずばりのドランカーズだもの」

 否定はしないが、と祐介が苦笑を浮かべる。

 「で。なんでおまえさんは今頃、このあたりをウロウロしているんだ。
 夜中。人の居ない路地裏を徘徊するのが、おまえさんの
 趣味じゃなかったのか?」
 
 「不倫カップルと遭遇して、足をくじくのはもうまっぴらだからね。
 そういえばさ、例のあの主婦。
 可哀想に。離婚がちかいだろうと、もっぱらの評判だよ」