オヤジ達の白球 31~35話
「上半身と下半身の動きを、上手にリンクさせるということか?」
「そういうことだ。なかなかに筋がいいぞお前さんは。理解が早いな岡崎。
なんだかお前さんのほうが、坂上よりセンスが良さそうだ。
全体の動きが、バラバラにならないように注意する必要がある。
ロボットのようにギクシャクと動いたら、まず駄目だ。
硬い動きでは、力が上手く伝わらない。
スムーズに、しなやかに動くことをイメージする。
それを前提に足のステップと、腕の振りのバランスを整えていく。
そのために普段からしっかり投げ込み、そいつをしっかり体に覚えこませる」
「なるほどな。基本はよくわかった。
次に、ワンランクあげるていくための、何かコツがあるか?」
「なんだよ。欲が深いなお前さんも。ボトル3本でそこまで聞くか。
まぁいい。
投げるとき、腕をむちのようにしならせて、素早く腕を振ることだ。
そうするとボールにキレとスピードが生まれる。
投げる瞬間。思い切り手首を返して、スナップを効かせる。
こうするとボールのキレが格段にあがる。
まぁ、初心者の猿に出来ることといえば、このあたりで限界だな」
「ありがたい。ずいぶん分かりやすい解説だ。
あとで坂上のやつに、俺からのアドバイスだと言って伝えておこう。
で・・・ついでにおまえさんへの本題だが、そいつも聞いてくれるかな?」
メモを胸ポケットへしまい終えた岡崎が、北海の熊に向かってニヤリと笑う。
作品名:オヤジ達の白球 31~35話 作家名:落合順平