オヤジ達の白球 31~35話
「かれこれ350から400球くらいかな・・・。
心配するな。たっぷり投げてきたから、手ごたえはばっちりだ。
三振を山のように取ってやるから期待してくれ」
(いきなり400球も投げ込んでくるとは、なんとも無謀なやつだ)
やっぱりこいつは大馬鹿者だ・・・呆れたもんだぜ、と北海の熊が鼻で笑う。
予想外に俺の出番が早く来そうだな。
いつでも投げられるよう早めに肩をつくっておく必要がある、と
岡崎へつぶやく。
(同感だ。頼んだぜ熊。ボトル5本分、きっちり仕事してくれよ)
岡崎も片目をつぶる。
試合前におこなわれるシートノックの時間は、5分。
お互いのシートノックの瞬間から、すでに試合がはじまっていると
いってもよい。
互いの守備の実力が披露されているからだ。
消防の先攻めで試合がはじまる。
ドランカーズの選手たちが、それぞれの守備位置へ散っていく。
最後まで候補がいなかった捕手は、寅吉がつとめることになった。
内野や外野手を希望する選手はたくさんいる。
しかし。出来たばかりのドランカーズに捕手を経験した者はひとりもいない。
捕手は守備のかなめ。
そのうち、どこかから経験者を探して来ようという話になった。
とりあえずチーム内でいちばん体力のある寅吉が、捕手の面をかぶる
ことになった。
作品名:オヤジ達の白球 31~35話 作家名:落合順平