巡り合う街の不確定未来 探偵奇談16
郁は友だちと昼食をとりながら、瑞のことを考えていた。欲しかった洋服を買って、みんなでわいわいとパスタを食べながらも、「予定がない」と珍しく寂しそうだった瑞のことを思い出す。
(何してるかなあ、今頃…)
一人で家にいるのか、友だちを誘って遊びにいっているのか。寂しい思いをしていないといいのだが。
瑞にも、寂しさや疎外感を感じる人間のマイナスな部分があるのは当たり前なのだが、郁にはそれが嬉しい。そういうところもたまらなく好きで、愛しいと思う。
(ちゃんと考えてるよ、須丸くんのこと)
みんな俺のことなんて構ってくんないんだもんなー、なんて言って拗ねてたけど、須丸くんはいつも絶対誰かの心の中にいるはず。
そんなことを考える郁だったが、まさかこのあと瑞に出会うとは夢にも思っていない。
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作品名:巡り合う街の不確定未来 探偵奇談16 作家名:ひなた眞白