ルナティック・ハイ
「廃棄処分場へのお遣いが、とんだ遠出になったものだね」
「ひっどーい、瑠流斗様なんですかその言い方。わたくしが捕まったのが悪いみたいな言い方」
「そのとおりだよ、君が捕まったことでボクは無駄な労力を使った」
「……もういいです、わたくし独りで帰ります!」
「一人じゃ帰れないくせに」
瑠流斗の言い方にアリスは居た堪れなかった。
なにも言えず、哀しい胸を押さえて立ち尽くすことしかできなかった。
瑠流斗はアリスのことなどほっといて、殺した男たちの物色をはじめていた。
男たちの身元を辿れるような物はなかった。
そして、アレもなかった。
「……ハードディスクがない。これじゃあ取引が破綻するのも当たり前だ」
先に仕掛けたのはスーツケースを投げた瑠流斗だ。
「さあ、帰るよアリス君」
歩き出す瑠流斗のシャツの背中をアリスは掴んだ。
作品名:ルナティック・ハイ 作家名:秋月あきら(秋月瑛)