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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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機械人形アリス零式

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 金属アームの先にいた巨躯の男が痙攣しながら倒れた。
 羽毛が落ちるようにセーフィエルが緩やかに地面に落下する。下では大勢の敵が待ち構えている。
 セーフィエルは異空間保管庫から魔導バッテリーを召喚し、そのバッテリーを目にも留まらぬ速さでアリスの背中に入れた。
「逃げなさいアリス」
 そう命じてセーフィエルは圧縮した空気を放ち、アリスを遥か上空に打ち上げた。
 ゆっくりと目を覚ますアリス。
 常人であれば上空で目を覚まし、ただただ混乱に襲われるだけだろう。だが、アリスは瞬時に理解した。
「コード000アクセス――60パーセント限定解除、コード005アクセス――〈ウィング〉起動」
 鳥の骨のような翼がアリスの背に生えた。
 さらにアリスは武装を続ける。
「コード006アクセス――〈ブリリアント〉召喚[コール]6[シックス]」
 召喚された6つの球体からレーザーを地上に向けて照射しようとしたとき、それを止めたのはセーフィエルだった。
「ここはわたくし一人に任せて逃げなさい。マナのところには戻らずに追っ手のこない場所へ」
 それは暗示のように、絶対服従の命令としてアリスに届いた。
 敵の目的はセーフィエル。だが、アリスのことを見す見す逃がすことはなかった。
 翼の生えた四つ足の獣がアリスを追おうとした。
 だが、驚くべきことが起きた。
 空を飛んでいた獣が地面に叩きつけられたのだ。さらに地上ではセーフィエル以外が蛙のように地面に這い蹲ってしまった。
 それとは反対に、アリスは磁石が弾き飛ばされるように急激に天空へ打ち上げられた。
「超重力発生装置よ」
 とセーフィエルは囁いた。
 アリスの飛行システムは半重力によるもので、地上の重力が上がったことにより、反発して天空にはじき飛ばされたのだ。
「わたくし独りであれば、貴方たちを滅ぼすことなど容易いこと……」
 セーフィエルは静かな月のように微笑んだ。