オヤジ達の白球 26話~30話
「これ以上見たって無駄だ。
どんなに頑張ったって、当分あいつに明るい未来は来ない。
そのあたりで投げているソフトボールの投手にいちから全部、
教えてもらうんだな」
「お前が教えてやってくれないか。そのほうが、よっぽども話が早い」
「俺があいつに教える?。冗談は顔だけにしてくれ、岡崎。
あんな野郎に教えるくらいなら、俺が投げたほうがはるかに早い。
あきらめろ。いくら頑張ってもしょせん才能の無い奴に、未来は来ない。
やっぱりよ。瓢箪から、簡単に駒は出ねぇよ」
「そう言うな。じゃ、せめて俺に教えてくれ。
どうしたらコントロールがつき、早い球が投げられるようになるのかを」
「なんでぇ。坂上のかわりにお前が投げるというのか?」
「いや。坂上のやつに助言してやる。
あいつは他人の言う事には耳を傾けねぇが、なぜか、俺の言う事には
素直にしたがう。
どうだ。俺にウインドミルの投げ方の極意を教えてくれないか」
「なんだかなぁ。ますますもって面倒くさいな、坂上もおまえも。
よし、分かった。山崎の12年物のフルボトル、2本、いや、3本で手をうとう」
作品名:オヤジ達の白球 26話~30話 作家名:落合順平