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オヤジ達の白球 21~25話

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 「しょうがねぇなぁ」祐介が裏口の鍵を開ける。
真っ赤なジョギングシューズを履いた陽子が、片足をかばうような態勢で、
もうだめだとばかり、座り込んでいる。

(座り込んでいるのか。大丈夫か?、お前・・・・)

 心配して覗き込む祐介に、
「鈍感。痛みに耐えてうずくまっている女に、大丈夫かはないだろう。ふん!。
デリカシーに欠けているんだから、まったくもう・・・・」
陽子の怒りに燃えた目が、下から見上げる。

 「悪かったな。手を貸してやる。どうだ、これなら立ち上げれるか?」

 「イタタ。無理無理。どうやら本格的に足をくじいたらしい」

 「運動神経の良い奴が、足をくじいたのか?。
 そいつはさらに気の毒だ。
 横の路地に、ガラクタを積み上げた俺のせいだな。
 ほら、抱き上げてやるから両手を広げて、俺の肩へぶらさがれ」

 「いいねぇ、ひさしぶりのお姫様抱っこだ。
 なんならこのままベッドへ直行してもいいよ、あんたとなら」

 「馬鹿言ってんじゃねぇ。そんなことより、痛めた足の治療が先だろう。
 出してみろ。俺がみてやる」

 陽子がジョギングシューズと、靴下を脱ぐ。
何かに強くぶつけたらしい。まくり上げた裾から赤い擦り傷が出てきた。
「ここはどうだ?」くるぶしのあたりを、祐介がそっと押す。
その瞬間。陽子がけたたましい悲鳴を上げる。

 「馬鹿やろう。
 なんて声をあげるんだ。隣近所が驚いて、目を覚ますだろう!」

 「目の前は一面の田圃だ。
 裏は河原だ。どこに驚く人が住んでいるのさ。
 半径50m以内に住んでいるものといえば、田圃のカエルと、渡良瀬川の鮎くらいだ。
 あ・・・あと、足をくじいた美人のネズミさんがここに居るか・・・」
 

(23)へつづく

作品名:オヤジ達の白球 21~25話 作家名:落合順平