不老不死ロリの国 第三部分
泣き顔に復帰した害。顔はさらにぐしゃぐしゃになってしまった。
「かわいそうに。地獄幼女がこんなになるとは、ちょっとギャップ萌えかも。抱きっ。」
昆太は襦袢だけの害をハグした。
「は、放せ。ヘンタイ!」
害が昆太を突き放した瞬間、害の涙が昆太の口の中に入った。
「地獄幼女の涙。おいしい。ゴクリンコ。」
「うわあ。オレの涙がヘンタイに飲まれた。・・・。あ、あれ?わら人形がない。」
害の右手にあった、わら人形が消えてしまった。
「なんか、おかしいよ。ガイちゃんがいなくなったよ。」
「ほんとでちゅわ。いったいどうしたのでちょうか?」
「ふたりともそんなレベルじゃないぢゃん。もっと変なことが起こっているぢゃん。ひえ~!」
木憂華は瞬時に20メートル引き下がった。ビビりもあるが、それ以上に、その距離が必要だったからだ。
「こ、こいつは、こいつは!」
昆太が見上げた相手。そこには高さ10メートルのわら人形がいた。その顔が不気味に笑っている。顔以外はわらのままであり、その手足が蠢いていることから、かなりキモイ。
『フフフ。オレはついに地獄少女を呼ぶことに成功したぞ。』
「その声。ガイちゃんだ。でもどうしてガイちゃんが巨大わら人形になったの?」
『さあ。気づいたらこんなになっていたんだ。これならすごくデカいから、みんなにバカにされることも、頭なでなでされることもないぞ。オレはついに天下を獲ったんだ。ワハハハ。ガキッ。いて。』
害は天井ギリギリの身長になっていたことから、胸を張った瞬間にぶつかってしまった。ライトが割れて部品が床に落ちた。
「ガイちゃん。これからどうするの?そのまんまでいいのかな。」
『いいに決まってるぜ。どうしてかって?そんなことは、言葉にする必要なんてないんだよ。このこぶしがモノ言う株主なんだ!』
わら人形・害の腕が箱子目がけて振り下ろされた。
「あぶないよ、ガイちゃん。そんなわるさしちゃいけないよ。」
横跳びで攻撃を回避した箱子は、わら人形を見上げている。
『うまく避けやがったな。今のはこの体に慣れていなかったせいだな。』
わら人形・害は首をゴキゴキと鳴らして、全体に軽く柔軟運動をして、戦闘態勢を整えた。
「泣き虫ガイちゃん。そんなことをしてはダメでちゅわ。今まで通り、ワタクチたちが遊んで(いじめて)あげまちゅから、おとなしくなさいでちゅわ。」
「そうぢゃん。暴れてもどうせQたちの軍門に下る現在過去未来しかないんだから、そこに直れぢゃん。」
『みんな。今のオレにもっとも言ってはならないことを言ってくれたな。もうオレの呪いは解放されたんだ。人を呪わばアナウンサー不倫だ。』
「そこは穴ふたつじゃないの?それを『不倫』?なんだか、オトナエロっぽい。」
箱子は顔を真っ赤にして、照れまくっている。
『オレには理解できない言語を使うんじゃねえ。しゃらくせえ!』
「仕方ないね。お兄ちゃん。出番だよ。吝奈ちゃん、キューリー夫人博士も!」
「お兄ちゃん、抱きつ。」「お兄様、クサイですわ。」「あんちゃん、プスリ、ちゅー。」
三人幼女は光を伴って変身した。
すぐに三人幼女は構えた。箱子は大ナタ、吝奈は牙の剣、木憂華は注射器を手にして鋭い目つきで下から害を睨み付けている。
『そう、その目だよ。相手を見下さない、強敵としての視線が網膜に痛いよ。やっぱり上から目線はいいなあ。オレが長年待っていたものだぜ。見回りだけの看守の仕事なんざ、糞くらえだ。』
「ガイちゃん、体がデカくなって、口の威勢はいいけど、空回りしないでよねっ。」
箱子は、言葉が終わるや否や、わら人形・害の足を打った。
「痛あ!わらなのにすごく硬いよ。」
「大ナタがダメなら、鋭い剣を味わってはいかがでちゅの?」
吝奈は牙の剣で、わら人形・害の腕を斬った。しかし、びくともしなかった。
「どんな構造なんだろう、分析してよ、キューリー夫人博士。」
「これはタダのわらじゃないぢゃん。おそらく魔力で強化されてるぢゃん。でもそれなら、液体にはどうかなぢゃん。」
木憂華は注射器のシリンダーを押して、中身をわら人形・害にぶっかけした。
『うわっ、クサい!何をかけやがった?』
わら人形・害は犬のように、体をブルブルと揺らしてについた水分を払っている。
「これはタダの水ではないぢゃん。あんちゃんの腐った血液を希釈した、泥水のような液体ぢゃん。注射器に入れると、注射器がクサくなるから入れるのはイヤだけど、緊急自体だから仕方ないぢゃん。どうだ、効いてきたぢゃん?」
「この注射器攻撃が効果があったとしても、俺の気持ちは複雑だ。てか、うれしくないぞ。」
『ヘンタイの心配はご無用だ。だって、クサい以外は全くダメージがないぜ。大きな音のオナラだ。』
「泣き虫ガイちゃん。いくら男の子っぽいと言ってもそれはNGワードでちゅわ。」
『ゴメンナサイ。って、謝ってる場合じゃねえ!これで商品売り切れかな。ならばこっちから販売攻勢をかけるぜ。高級品ばかりだから、そちらの店には置けない代物ばかりだぞ。例えばこんなパンチは、痛みスパイスたっぷりだぜ。』
わら人形・害の繰り出した右手の打撃。
「こんなユルいの、どうでもいいよ。」
避ける態勢すら取らない箱子。拳が顔面に迫った瞬間、わらが分解して無数の紐のようになり、箱子の顔面を襲った。
「わらは柔らかいから痛くないよ。ガイちゃんの攻撃、環境に優しいね。」
『その言い草、ムカつく。ならばちょっと広げるとどうなるかな?』
わら軍団は四方八方に拡散して、箱子の顔面を覆った。
「あっ、すごいよ。やっぱり痛くないけど、前が見えないよ。ガイちゃん。」
『安心しなよ。すぐに見えるようになるから、三途の川が。』
「どういうこと?あ、あははは、くすぐったい!」
わらは箱子の首から下の部分に侵入した。
同じように、吝奈、木憂華にもわらが体内に侵入して、くすぐり攻撃をしている。
「あははは。」
「あははは。」
『これぞ、『わらわらサギ攻撃』だ。パワーに頼るよりも、こちらの方が体へのダメージは大きいんだからな。』
「あははは、たしかにそれは的を得た説明ぢゃん。異常に笑うことで、体内の酸素を吐き出して、酸欠状態に陥れるという恐ろしい攻撃ぢゃん。」
『そうだぜ。体の外を魔力で強化しても内臓は別。そこが狙い目なんだよ。お前たちがオレの外側を攻めてきても、かわすのはカンタンだ。逆にオレはお前たちの中をターゲットにしたといわけだぜ。ワハハハ。』
「泣き虫ガイちゃんらしい、卑怯な攻撃でちゅわ。こんなの、お止めなさいでちゅわ。あははは。」
『卑怯だと?これまで散々人を子供扱いしやがった罰さ。でも卑怯と言われたら、オレのプライドが許さねえ。止めてやるよ。』
「それでこそ、泣き虫ガイちゃんでちゅわ。あれ。今度は胸の辺りに当たってまちゅわ。こんなことされると、それでなくても大きな胸のカップがワンランクアップしまちゅわ。下着のサイズが合わなくなって困りまちゅわ。」
「あたしも下着買い替えるお小遣いがないんだからイヤだよ。」
「悔しいけど、カップサイズ上方修正、Qはうれしいよ。」
作品名:不老不死ロリの国 第三部分 作家名:木mori